「癌」という言葉の定義から考える必要があります。
「癌」というのは、上皮細胞からできた悪性腫瘍を言います。
上皮細胞というのは、わかりやすくいえば、体の表面からつながった部分です。表面つまり皮膚から口の中、胃の中は連続しているので、胃の内側にできる悪性腫瘍は胃癌と言います。その先の十二指腸から胆管や膵管につながって肝臓や膵臓があるので、そこにできた悪性腫瘍は肝臓癌や膵臓癌と言います。
一方、血管や神経や骨は、体の表面から直接連続していません。ですから、血管や神経や筋肉からできた悪性腫瘍は「癌」とは言いません。これらは「肉腫」と呼びます。例えば、骨からできた悪性腫瘍を「骨肉腫」といいますが、これは聞いたことがある人も多いと思います。
心臓も血管からの連続はありますが、体の表面との連続はありませんので、上皮細胞はありません。ですから、心臓にできた悪性腫瘍を「心臓癌」とは言いません。
では、心臓にできた悪性腫瘍(肉腫)があるのかどうか、というと、とてもまれですが、悪性腫瘍ができることがあります(血管肉腫、横紋筋肉腫など)。
ちなみに、中枢神経にも腫瘍ができます(脳腫瘍)。脳腫瘍の場合には、悪性の場合でも「肉腫」ということはなく、「悪性○○腫」と呼びます。
お礼
詳しくご説明して頂き感謝です。 専門的なことを噛み砕いて、しかもシンプルに説明 して頂きまして、 ありがとうございました。とても参考になりました。