景気というのは「循環する」と考えられています。ですので「好況」の時と「不況」のときがある、とされています。これを「循環景気」といいます。
分かりやすくするために、不況が終わって景気が上昇するところか始めましょう。
1.不況の際は、物の移動(購買活動)が止まるため、政府はお金を手当てして、購買活動が積極的になるように政策を変更します。
その政策とは「ローンを安くして、住宅購入や自動車購入をしやすくして、お金が動くようにする」「政府保証などをつけるなどして、業績のよくない企業でも設備投資ができるように(銀行から借り入れできるように)して、お金が動くようにする」「政府が直接、公共投資をして企業に工事や購買のお金が入るようにして、お金が動くようにする」のです。
その結果、お金が回りだし、最初は大企業や富裕者から次第に中小企業や庶民に、お金が回ってくるようになり、全体的にお金をもてるようになり、さらに購買活動が活発になります。
2.1の政策がうまく機能し、個人や零細企業までお金が回りだすと、さまざまな購買活動が活発になります。購買活動が活発になる、というのは単純に物を買うということだけでなく「投資」も活発になるということであり「借金をして、投資をする(企業が工場を新設したりするのは大体借金です)」ということでもあります。
なぜ、借金までして設備投資をするかというと、みんなが色々な物を買ってくれるため「物をより早く安く生産できれば、より儲かる」からです。いずれ不況の時期がきますから、好況のときに乗り遅れないのが重要なのです。
3.不況のときは、企業を含めてやりたいことができず、ほしい物が買えない状態ですから、お金が回りだすと、必要なものを買い、必要なことをみんながしだします。これが好況(好きなだけ物が売れる時期)です。
しかし、これがいつまでも続くわけでありません。なぜなら「一人の人間が持てる物の量、体験できる時間的余裕」は決まっているからです。
極端な例でいえば、日本国民が全員世界旅行をしてしまったら、世界旅行をする旅行者は数社を残してつぶれるでしょう。2度も世界旅行をする人はそれほどいないからです。
このようにして、物やサービスが行き渡ると、次第に人々(企業も)物を買わなくなっていきます。物を買わない、サービスを買わないということは「お金が回らない」ということでもあります。
お金が回らなくなると、景気が悪くなっていきます。
4.景気が悪くなり、お金が回らなくなり、それが「不況」に突入するにはきっかけがあります。それは「企業などが倒産し、信用不安が起きる」ということです。
2で「好況の波に乗り遅れない」ように、企業によっては無理して借金をして、工場を増設していたりします。増設した工場が十分な利益を上げるまで、好況がつづけばいいのですが、すべての会社が利益を上げることはできません。そのため、十分な利益を上げる前に、景気が悪くなってします「乗り遅れた」企業が必ず出てきます。
乗り遅れた企業は無理して借金して、増設した工場の売り上げで借金を返済しようとしているので、売り上げが減ると借金を返すことができなくなります。
そうすると、どこかの企業がお金を返すことができなくなり「倒産」に至るのです。どこかの企業が倒産に至ると、その企業と取引していた企業にお金が入ってこなくなり、倒産するところもでてきます。これを連鎖倒産といいます。
銀行は次に倒産されたら困りますので、段々にお金を貸さなくなってきます。この銀行が「お金を貸す基準を強化して、安心なところにしか貸さない」ことが「信用不安」ということなのです。
信用不安があると、銀行から借金をしてギリギリで経営しているような企業が、これ以上お金を借りられなくなり、倒産していくことになります。
このような倒産が続くと、他の企業も考えます「俺の会社の周りで、倒産しそうなところは無いのか?」ということです。そして、企業はどこかが倒産しても大丈夫なように、従業員給与を押さえ目にして、会社になるべくお金を残そうとします。
こうなるとついに個人にもお金が入ってきにくくなりますので、みんな「お金を使うのを控えよう」という気持ちになります。
みんながお金を使うの控えはじめば、お金が回らなくなりますので、景気が悪くなっていたところが一気に不況に突入していくのです。
これが「不況」です。
そして、不況になると、政府が1のための政策を始めるのですが、まず不況を認識するのに時間がかかること、政府がすぐにできる経済刺激策もありますが、ほとんどのものがそれなりの準備をしないとできないので、景気刺激策と言っても年単位で発動までには時間がかかる、ということです。
そして景気刺激策が始まってもすぐには景気が上昇するわけではありませんので、その間は「不況」が続く、ということです。
これが景気循環というものです。
>どういったことを基準として、それ以上またはそれ以下の状態になると
不景気とするというような、定義てきなものがあるのでしょうか?
景気の状態をみる指標はいくつかあります。分かりやすい例で言えば、平均株価などです。1990年ぐらいまでのバブル期は日経平均株価で4万円近くまでいきましたが、バブル崩壊後は7千円台まで下がりました。安部政権になってから株価が段々上がっていますので「すこし景気がよくなるのではないか」という期待がありますが「期待」なのは、安部政権の経済政策はまだなにもはじまっていないからです。
このまま、株価が上がれば景気がよくなったということになります。
ただ「好況・不況」の判断は実は人々の気持ちだったりします。公式に認められているのは日銀(日本銀行)の各支店の支店長が集まる会議で「今の景気はどうですか?」という質問をして、好況という人が多いのか、不況という人が多いのか、で景気を判断するという方法です。これは政府の公式見解にもなっていきます。
また同様に経済産業省は一定の期間で企業経営者などに、同じアンケートをしています。これらのアンケートで好況と答える人が多ければ「好況」なのだろう、ということです。