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政府の財政支出とGDP・民間消費の関係についての質問
- 政府の財政支出が増えると、価格調整が行われて完全雇用が実現されている場合はGDPは変化しない。価格が硬直的で失業が生じている場合はGDPが増加する。
- 政府の財政支出が増えると、価格調整が行われて完全雇用が実現されている場合は民間消費が減少する。価格が硬直的で失業が生じている場合は民間消費が増加する。
- 政府の財政支出がGDPや民間消費に与える影響は、価格調整の状況によって異なる。経済学の教科書やオンラインの経済学のサイトなどを参考にすると理解が深まる。
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賃金の下方硬直性ということは別として、「価格調整」云々というのはマクロ経済学ではあまり言わないので、質問の表現が正しいのかという感じはしますが、問(1)も問(2)も、生産余力のある社会(単純化すれば、失業者のいる社会)では、需要が生産(経済の規模)を規定するというマクロ経済学の初歩の初歩の問題です。 まず、完全雇用が達成されている社会(すなわち、生産数量を増加することができない社会)で財政支出が増加して国内の需要が増加しても、その増加分を国内での生産数量の増加で対応できないため、国内の生産数量合計は増加しないことになります。このため、国内の生産物の価格が上昇するか、海外からの輸入で対応するしかないので、実質GDPは増加しない(物価上昇により名目GDPは増加する)ことになります。 一方、失業者がいる社会(すなわち、失業者に働いてもらうことにより生産数量を増加できる社会)では、財政支出による需要増加に対し失業者を雇用して生産数量合計を増加することができるので、一国の生産数量合計である実質GDPは増加することになります。 民間消費との関係では、国内で生産されたものを国家と民間で消費しているとして、完全雇用社会では、国内の生産数量は増加しないので、財政支出により国家が消費するものが増加すれば、民間が消費できるものが減少するしかない(財政支出の増加分の全部を輸入で対応できない限り、民間消費は減少する)ことになります。 失業者がいる社会では、財政支出の増加により国内の生産合計が増加することになるので、財政支出増を国内生産の増加分で対応できれば、民間消費が減ることはありません。 さらに、財政支出により失業者が減少すれば、新規に雇用された人たちが生産物を購入することができることになるので、国全体での需要(総需要)は財政支出により直接的に需要が増加するものより多くなることが期待できます。 このように財政支出分より総需要が増加することになるのが乗数効果(菅・元総理が国会答弁で答えられなかったマクロ経済学の初歩的な概念です)と呼ばれるもので、財政支出の乗数が1を超えていれば(一般的には1を超えると考えてよい)、その超える部分は民間需要の増加ということになりますので、民間消費も増えるということになります。 これらの問題のポイントというものは、マクロ経済学の初歩を理解しているかどうかだけであって、マクロ経済学の入門書を読むしかないのではないでしょうか。ただ、あまりに初歩的な内容であるため、入門書レベルでも丁寧に説明しているとは考えられませんので(ミクロ経済学の基本的な概念である「限界」について丁寧に説明している入門書があまりないのと同じです)、教員に質問をするというのは早いと思います。