天然に存在する元素は、原子番号1番の水素(元素記号H)から、92番のウラン(元素記号U)までありますが、この内、43番のテクネチウム(元素記号Tc)、61番のプロメチウム(元素記号Pm)、85番のアスタチン(元素記号At)、87番のフランシウム(元素記号Fr)は、自然界における存在量が微量過ぎるため、実質的に存在しません。
上記の4元素は、何れも極微量であれば存在しているのですが、その事をもって天然に存在ていると見なすと、一般には人工元素とされる原子番号94番のプルトニウム(元素記号Pu)も極微量存在していますので、プルトニウムも人工元素ではなくなってしまいますから、どの元素が人工元素であると考えるべきなのか不明瞭になってしまいます。
テクネチウム、プロメチウム、アスタチン、フランシウムの4元素の内、プロメチウムとフランシウムが初めて見つかったのは、天然に起源を持つ物質の中からですから、天然元素と言えなくも無いかも知れません。
しかし、テクネチウムとアスタチンが初めて見つかったのは、別の元素に人工的に放射線を照射する事で、人工的に造られたテクネチウムやアスタチンなのですから、人工元素と見なした方が良いと思います。
そして、原子番号がウランよりも大きな原子番号93番のネフ゜ツニウム(元素記号Np)以降の元素は、全て人工元素です。
現在では、原子番号118までの元素が人工的に造られていますが、この内、正式の名前が付いているのは、原子番号116番のリバモリウム(元素記号Lv)までで、113番のウンウントリウム(仮の元素記号Uut)、115番のウンウンペンチウム(仮の元素記号Uup)、117番のウンウンセプチウム(仮の元素記号Uus)、118番のウンウンオクチウム(仮の元素記号Uuo)は、まだ正式名称が決まっていないため、仮の名称で呼ばれています。
これらの人工元素の内、最初に人工的に合成されたのはテクネチウムで、1937年にアメリカのカリフォルニア大学で重水素の原子核を照射したモリブデンの中から、イタリア生まれのアメリカの物理学者であるエミリオ・ジノ・セグレ(Emilio Gino Segrè)が発見しました。
原子番号82の鉛(元素記号Pb)よりも大きな原子番号を持つ、原子番号83のビスマス(元素記号Bi)以降の元素は、全て放射性元素で、原子番号が大きくなる程、その原子核は不安定になりますから、その原子核が核反応の結果により生成する確率は少なくなりますし(不安定な状態になる確率は少ない)、出来た原子核も短時間で崩壊して、より小さな元素になってしまいます。
例えば、人工的に造られた中で、最も原子番号が大きな原子番号を持つ、原子番号118番のウンウンオクチウムは、合成された原子核の数は僅かに3個しかなく、半減期0.00089秒で崩壊してしまいました。
極短時間でも存在していれば、その元素は存在し得ると見做すとした場合であっても、様々な理由から、元素の原子番号の大きさには、様々な理論的限界があると考えられています。
それらの理論的限界の内、最も原子番号か小さいのは、原子番号137で、原子番号137の原子核の周りを回る電子の内、最も内側を回る電子は、回転速度が光速を超えなくてはならないため、その様な原子は存在出来ない可能性があると考えられています。
お礼
ご懇切丁寧に回答ありがとうございます。光速を超える事が出来ないため、それ以上の元素が存在し得ないと言うのは何となく納得ですね。電子の速度は一定だと思っていた私が言うのも何ですが。