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津波堆積物調査で津波の高さが分かる?

津波堆積物調査では、発見された堆積物から津波がどこまで来たかを想定する(遡上域を想定する)ことができるのは理解できるのですが、 色々な津波対策の検討では、これによって沿岸部での津波の高さを想定していることがあるように思えます。 直接的に、堆積物調査によって津波高さを求めることは不可能だと思うのですが、 これはどのように理解したら良いのでしょうか? 津波解析に詳しい方がいらっしゃいましたら、ご教授下さい。 ■私が勝手に想像したステップ  (堆積物調査で)津波がどこまで内陸に及んだか【遡上域】が分かる  ↓  沿岸部から内陸の地形や粗度を考慮して、数値計算を実施  ↓  沿岸部でどのくらいの高さがあれば、実際の遡上域まで水が達するかを  逆算して求める(これがすなわち、想定された沿岸部での津波高さとなる)  このような考え方によって、想定しているのでしょうか?  もしくは他の考え方や調査結果などを考慮して(別の方法で)求めているのでしょうか。

みんなの回答

  • kabo-cha
  • ベストアンサー率43% (403/928)
回答No.1

基本的に「私が勝手に想像したステップ」で合っています。 津波堆積物では津波の高さは分かりません。 堆積層の厚みから、津波の高さを推定する方法も考えられなくはないですが、誤差があまりにも大きすぎてほとんど使い物にならないでしょう。 政府(中央防災会議など)が行っている津波想定や対策の検討では、この点を十分注意するべきというスタンスです。 津波堆積層の研究により浸水範囲が分かるので、そこから数値計算(逆解析)すれば、地震モデルを求めることが出来ます。しかしこの地震モデルは、単に「もっとも効率よく陸地を浸水させる」地震モデルに過ぎません。 実際は浸水範囲を広げるよりも津波の高さを稼ぐことが得意な地震もあるわけです。 ※一般的には、地震断層の幅が広いほど浸水しやすく、断層がずれた量が大きいほど津波が高くなると言われています。たとえば明治三陸地震は津波の高さを稼ぐことが得意な地震に分類されます。 ということで、たとえば、、、 海岸線から3キロ内陸まで浸水したことが分かった(踏査観測)。この結果を踏まえて数値計算すると、海岸線での津波の高さは8メートルだった。しかし実際に海岸線で12メートルの津波が到達していても3キロまでしか浸水しないだろう ということもあるわけです。 もうひとつ注意すべきは、ある狭い範囲に津波堆積物が「ある」というのは動かしようのない事実ですが、津波堆積物が確実に「ない」というのは言えません。実際に津波が到達して堆積物があったけれども、のちに耕地化されたり洪水で流されたりしている可能性もあるからです。 なので、津波堆積物の研究では、海岸線から何キロ「以上」浸水したという言い方をします。 ゆえに、そこから数値計算して得られる結果というのは、マグニチュード××「以上」の地震、海岸線には××メートル「以上」の津波が到達した、ということになります。 ※去年の震災前に、東北地方の津波堆積物の研究から、「東北地方ではおよそ1100年前にマグニチュード8.3以上の巨大地震が起きている」ということが知られていましたが、それを「8.3の巨大地震が起きた」と誤って(あるいは意図的に)解釈した人たちが多数いました。「以上」をきちんと踏まえていた人は、震災のあと「想定外」とは言わなかったはずです。 なお、政府の津波想定の検討では、津波堆積物以外にも古文書を丹念に調べていますし、明治時代以降であれば験潮儀や水準測量などの観測データ、内務省等の調査班の報告などにもあたっています。 こうしたさまざまなデータと数値計算の結果を総合して津波想定を作っていますから、津波堆積物だけで決めるよりも津波の高さの精度は高いと思います。 ただ、高知県黒潮町で34.4メートルの津波が想定されると言っても、精度的には「高知県黒潮町では高いところで25~40mくらいになる」程度のものでしょう。0.1m単位の精度はありません。

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