「自己責任」という,ニッポン人を陥れる<呪文>
現代の日本社会にとって,「自己責任」とは,どのような意味をもつのでしょうか?
「自己責任」という言葉を,あなたはどのように受けとめているのでしょうか?
イラクで3人の日本人が人質になったとき,日本社会では「自己責任」という言葉が,たびたび強調されました。この事件では,被害者にたいして日本政府が救出にかかった費用を請求したという,前代未聞の結末をむかえ,いまも論争が続いています。
そして,震災後の日本社会においても,「自己責任」という言葉が,たびたび使われるようになりました。
・津波で家が破壊されても「自己責任」
・原子力発電所の事故で住む場所を失っても「自己責任」
さらには,日本社会のいたる場面において,「自己責任」という言葉が使われるようになりました。
・ブラック企業に就職しても「自己責任」
・不当な理由で仕事を解雇されても「自己責任」
・進学できなくても「自己責任」
現代の日本人にとって,「自己責任」という言葉は,「言葉」ではなく,なにかの「呪術」のような,あるいは,「記号的なもの」になってしまったのかもしれません。<自己責任>によって,日本社会は,とうとう,萎縮した社会へと変貌したことを,悲観視している人々も,少なくないことでしょう。
日本人が日本社会を疲弊させている,日本人が日本という国家の首根っこを絞めつけていることに,日本人は気がつかないのでしょうか?