「障害者」の定義と手帳の所持とが関連付けられているのは、身体障害者だけです。
身体障害者の場合は、身体障害者福祉法第4条で「この法律において、「身体障害者」とは、別表に掲げる身体上の障害がある十八歳以上の者であつて都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう。」というように定義されており、「身体障害者手帳の所持」と身体障害者の定義が関連付けられています。
しかし、精神障害者については、精神保健福祉法第5条で「この法律で「精神障害者」とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう。」 というように定義されており、「精神障害者保健福祉手帳の所持」と精神障害者の定義とは関連付けられていません。
また、知的障害者福祉法には、そもそも「知的障害者」の定義規定自体がなく、医学上の定義に準じるという運用であることから、「療育手帳の所持」と知的障害者の定義とは関連付けられていません。
障害者自立支援法第4条では、「この法律において「障害者」とは、身体障害者福祉法第四条 に規定する身体障害者、知的障害者福祉法 にいう知的障害者のうち十八歳以上である者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第五条に規定する精神障害者(発達障害者支援法 (平成十六年法律第百六十七号)第二条第二項 に規定する発達障害者を含み、知的障害者福祉法 にいう知的障害者を除く。以下「精神障害者」という。)のうち十八歳以上である者をいう。」と定義されており、それぞれ各個別法の定義を引用していますので、各個別法における障害者の概念に該当する者でなければ、自立支援給付の対象になりません。
このため、身体障害者として障害者自立支援法の自立支援給付を受けるためには、身体障害者手帳の所持が必須となりますが、精神障害者と知的障害者については、障害者の定義と手帳の所持が関連付けられていないので、手帳を所持していなくても、自立支援給付を受けることが可能です。
例えば、精神障害者保健福祉手帳を所持していなくても、精神障害者として、自立支援医療(精神通院)の適用を受けることはできるわけです。