イラク人って誰のこと?
ファルージャでの戦闘を機に、ブッシュ政権に対する批判が再び強くなってきているように感じています。
日本でもそうですが、批判勢力の大方は、アメリカ主導から国連主導型に一刻も早く政策を変更し、イラク人による政府、イラク人による統治を実現すべきだ、と主張しているように思いますが、そこで素朴な疑問がでてきました。
これらの人々が言っているイラク人とは一体誰の事なんでしょうか?
シーア派ですか、スンニ派ですか、あるいはクルド族のことを指しているのでしょうか? 他にもイラク国内には少数ながらキリスト教徒もいるようです。
たしか、アメリカ主導型と批判され続けている暫定統治機構が提案した憲法案には、シーア派、スンニ派、クルド族それぞれが公平に拒否権をもつ規定になっていたため、私としてはなかなかフェアーな憲法案かな、との印象をもったのですが、案の定、多数派のシーア派から強く拒否されたように聞いております。
これには、イラク戦争に協力したクルド族への見返りだ、と決めつける人たちもいますが、この暫定統治機構の提案は、アメリカの権益とは別に、イラク内の各民族・各宗派の権利が公平になるように努力した結果と評価する声もあります。
このように、一口にイラク人といっても多種多様な人々が混在している現状のもとで、批判勢力の念頭の中にある 「イラク人」 とは、一体どの勢力の人のことを示しているのでしょうか?
各民族・各宗派の全体を示す、というのであれば、批判の的になっている暫定統治機構の考えと、どこが違うのでしょうか?
それともうひとつ、国連な名前を出せばオールマイティ、という幻想があるように感じていますが、そもそも国連に対するイラク人の評価はどうなんでしょうか? たしか、イラクに経済制裁をくわえ、一般市民の生活の困窮を招いたのは国連だったのではないでしょうか?