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オペアンプの同相入力範囲について
オペアンプに同相入力範囲というのものがあります。 具体的に、どこの電圧(電位差?)のことなのでしょうか? どういったことを意味するものか教えてください。 宜しくお願いします。
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>単電源の方が使いやすいような気がします オペアンプを単電源で動作させたとき、扱える信号は、電圧が常に+の信号と、交流信号だけに制約されます。電圧が常に+の信号でも1V未満の信号を扱う場合には、同相入力範囲が負電源電圧にまで広げてある単電源用オペアンプを使います。しかし、入力信号がさらに小さい場合(数mVなど)、単電源用オペアンプでも正常動作させることはできません。同相入力範囲が負電源電圧にまで広がっているというのは、正確に言うと、「負電源電圧から数mV内側まで」です。さらに、入力信号が負電圧になる場合には、単電源で動作させたオペアンプでは正常に動作させることができません。 したがって、非常に小さい電圧の信号とか、電圧が正負に動く信号を扱うには、正負の電源を用意して、両電源でオペアンプを動かす必要があります。両電源を使えば、オペアンプの動作点(信号入力がないときの端子電圧)を、GND付近にすることができるので、同相入力範囲の制約が緩和されます。 つまり、両電源用オペアンプの存在価値は、非常に小さい電圧の信号とか、電圧が正負に動く信号を扱う場合にあると思います。そうでない場合は、あえて両電源とする必要はありません。 【補足】 最初の回答で「同相についてあまり深く考えなくて良い」と書きましたが、それについて補足しておきます。 同相というのは、2つの入力端子の電圧がほぼ同じで、それらがそろって変化する状態を言います。差動というのは、2つの入力端子の電圧がばらばらに動く状態で、入力の一方をある電圧に固定して、もう一方の入力に信号を入れるような場合です。普通、オペアンプ回路では、反転入力端子と出力端子間に抵抗などを入れて、負帰還経路を作ります。こうすると、2つの入力端子の電圧がほぼ同じになります。2つの入力端子が同じ電圧なので、あたかも入力端子間が短絡しているように振舞うことから、この状態を「仮想短絡」と言うことがあります。「仮想」というのは実際には短絡していないからです。したがって、オペアンプを普通に動作させた場合(負帰還構成としている場合)、2つの入力端子の電圧は揃って動くことになるので、同相入力ということになります。ちなみに、上で「2つの入力端子の電圧がほぼ同じ」と書きましたが、「ほぼ」と書いたのは、実際にはわずかな違いがあるからで、この電圧の違いを「入力オフセット電圧」と言います(通常、この電圧差は数十μVから数mVの範囲にあるので、小さい電圧の信号を扱う場合には問題となります)。 同相入力範囲が問題となるのは、入力端子電圧が大きく動く場合です。ここ(http://markun.cs.shinshu-u.ac.jp/learn/OPamp/invop.html)にあるような反転増幅回路では、入力信号Viが大きく変化しても、反転入力端子の電圧Vnは、非反転入力端子の電圧Vpとほぼ同じになります(仮想短絡状態)。VpはGND(0V)に固定されているので、Vnもそれに近い電圧になります。したがって、Viが大きく動いてもVpやVnはGND付近から動きません。このオペアンプを±電源で駆動している場合、GNDの電圧は±の電源電圧から大きく離れているので、同相入力範囲の問題は起こりません。 一方、ここ(http://markun.cs.shinshu-u.ac.jp/learn/OPamp/ninvop.html)にあるような非反転増幅回路では、入力信号Viは非反転入力端子に直結されているので、Vi = Vp になります。この回路でも負帰還経路ができているので仮想短絡状態になります。つまり Vp = Vn になります。したがって Vi = Vp = Vn となるので、Vi が動くと、VpやVnもそれと同じ振幅で動くことになります。この回路の電圧利得は 1 + Rf/Rs になりますが、この利得が大きい場合は、大きく変動する信号を入力電圧とすることは普通ありません(出力電圧が飽和していまうので)。しかし、Rf = 0 の場合(電圧利得が1のバッファの場合)、Vi を大きく動かしても出力は飽和しないので、Vi の範囲を大きくできます。このとき、Viが電源電圧に近くなると、同相入力範囲から外れて正常動作しなくなります。つまり、同相入力範囲が問題となるのは、電圧利得が1の非反転バッファに、大きな振幅の入力信号を加えた場合になります。
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- inara1
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オペアンプには2つの入力端子があります(-と書かれた反転入力と+と書かれた非反転入力)が、その端子電圧が、-側の電源電圧から+側の電源電圧まで動くとき、オペアンプが正常に動作できる入力端子電圧の範囲です。同相という意味はあまり深く考えなくてもいいです。 例えば、汎用オペアンプのLM358のデータシート(http://akizukidenshi.com/download/LM358N_NS.pdf)の2ページの下に電気的特性という表がありますが、その中の Input Common-Mode Voltage Range(入力コモンモード電圧範囲) という項目がそれです。MINのところに0、MAXのところにV+-1.5Vと書かれていますが、それが同相入力範囲です。これは-側の電源電圧を0V、+側の電源電圧を30Vとして動作させたとき、2つの入力端子の電圧が0Vから+側電源電圧-1.5V(28.5V)までの範囲なら正常動作するという意味です。 LM358は単電源用オペアンプなので、-側電源電圧を0Vとして動作させる場合が多くなります。その場合、入力電圧が0V付近になっても正常動作させることが多くなります。そのため、同相入力範囲のうち、-電源側の範囲が-側電源電圧いっぱいにまで広がっています。単電源用でないオペアンプの同相入力範囲は通常、-側電源電圧+1.5V~+側電源電圧-1.5Vとなっています。CMOSオペアンプで「入力レール・トゥ・レール」とか「入力フルスイング」と書かれたものは、同相入力範囲が-側電源電圧~+側電源電圧となっているものを指します。 同相入力範囲が電源電圧範囲を超えるような使い方は論外ですが、2つの入力電圧の一方が同相入力範囲を超えると、オペアンプが正常動作しない(本来、+電圧が出力されるべきときに、-電圧が出力されるなど)ことが起こる場合がありますが、オペアンプによっては、そのような動作は起こらないことを謳っているもの(「位相反転なし」とか「出力反転なし」など)もあります。 オペアンプには、出力電圧範囲というのもあります。出力がこの範囲を超えることはできないので、2つの入力電圧が共に同相入力範囲内であっても、出力電圧が飽和して、結果として、正常動作しないことも起こりえます。出力電圧範囲も、同相入力範囲と同様の表わし方になります。出力電圧範囲が電源電圧範囲いっぱいに振れるオペアンプを、「出力レール・トゥ・レール」とか「出力フルスイング」と言います。CMOSオペアンプではこのタイプが多いです。特に、入力、出力とも電源電圧範囲いっぱいに振れるオペアンプを「入出力レール・トゥ・レール」とか「入出力フルスイング」と言います。
補足
お返事ありがとうございます。 同相という言葉は無しにして、入力電圧範囲と思えばいいのですね? 一つ疑問が浮かびました。 両電源オペアンプは一般に-側電源電圧+1.5V~+側電源電圧-1.5Vと なっていますが、それに比べ単電源は0V~~+側電源電圧-1.5Vなので、 単電源の方が使いやすいような気がします。 両電源の存在価値はあるのでしょうか? 素人的な質問ですいません。 宜しくお願いします。
お礼
詳細な説明ありがとうございます。