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映画「誰がために鐘はなる」は、戦争PR映画か?

この映画は、スペイン内戦に義勇軍として反ファシスト側に参戦したゲーリー・クーパを主人公とした物語ですが、二次世界大戦に反ファシズムを旗印に参戦したアメリカが、その戦争を礼賛する目的で作られたPR映画のようです。 しかし映画の筋書きは、作戦そのものが意味を失っているのにあえて既定の作戦(橋の爆破)を実行し、そして死んでいく、というもので、PRと矛盾する要素がふくまれています。 そもそもヘミングウェイが単純な戦争PR小説を書くとも思えません。 この映画と原作との関係について、何かご存知の方は、教えてください。

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回答No.1

おっしゃるとおり、当時は「若者よ戦争に行け」とそそのかす戦意昂揚映画が いくつも製作されています。 解釈は人それぞれだと思いますが、私なりの考えを書いてみます。  ヘミングウェイは戦意昂揚の意図で書いたのではない。  ハリウッドは戦意昂揚に利用しようとしたのかもしれない。 原作はゲリラ活動と短い恋に生きたアメリカ青年の最後の3日間に、 生きる意味や幸福とは何かを問うものです。 ヘミングウェイ自身も国際旅団に参加しています。 発表後すぐベストセラー入りし、パラマウントが破格の金額で映画化権を獲得。 クランクインは真珠湾攻撃前夜、完成は太平洋戦争まっただ中の1943年。 ともかくもハリウッドの十八番というか、原作の精神は損なわれ、 メロドラマ性を強調したものとなり、原作とは乖離した娯楽大作になってしまいました。 ヘミングウェイは試写を見て激怒したために、反ファシスト映画を批判した「ファシスト」と 見なされ、死ぬまでFBIの監視下に置かれたのでした。 ヘミングウェイはマッチョ志向の人でした。 裏切り者のために情報が漏れ、失敗に終わるとはわかっていても、 任務は遂行されなければならない、負けが見えていても何かは成し遂げたい、 それが「男の最期」だ、男の美学じゃないかと私的には解釈しています。 ちなみに、題名は冒頭に掲げられたジョン・ダンの詩からとられていますが、 この「鐘」というのは弔いの鐘のことです、おまえのために鳴るのだよと。

kobatetu01
質問者

お礼

>ヘミングウェイは試写を見て激怒したために、反ファシスト映画を批判した「ファシスト」と見なされ、死ぬまでFBIの監視下に置かれたのでした。 勉強になりました。 >男の美学 同感です。 >この「鐘」というのは弔いの鐘のことで、おまえのために鳴るのだよと。 これはニヒリズムではないでしょうか? 大変ありがとうございました。

kobatetu01
質問者

補足

すばらしい回答をありがとうございます。 ベストアンサー確実なのですが、別のコメントが出てこないか?もう少し待ちたいと思います。

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