「8月以降子供を対象に配布されたガラスバッジ式線量計の中間データが一部公表されていて、平均値は出ていなかったと思いますが1ヶ月で0.1~0.2mSv程度だったと思います。」
福島市で配布されているガラスバッジ式線量計はガンマ線のみを計測するものです。子供の被爆量を計測するのに参考にはなるでしょうが、地面に寝転んだりする場合(ベータ線)もあるでしょうし、健康被害のほとんどが内部被曝であることを考えると、実際の被曝量とはあまり顕著な相関関係は期待できません。
チェルノブイリでの実際の居住禁止区域の値5mSVを越える場所が、福島には少ないとは言えません。チェルノブイリの居住禁止区域が冗談で決められてるのでないなら、福島も安心できると言いきれる人は科学者ではありません。影響があるからこの値になってるんじゃないでしょうか。
計測や調査はもちろん必要なのですが、こうした少ないデータで、なおかつその一部を元に安全だ、危険だと騒ぐのはあんまり意味がありません。どちらも不安を煽るだけです。福島では給食の例を見ても、高い放射線が検出されると単純に発表しないという方針です。こうした姿勢が国や自治体、原子力利害関係者の安全主張を信頼しがたくしています。
質問内容の「注意して生活しなければならないレベルなのか、注意せずに生活していけるレベルなのか。」という視点で考えれば、回答としては「事故の影響がないと言えるのは1mSV以下。国は20mSV以下は居住可能としているが、それは確率は低くとも影響はある。チェルノブイリの前例では5mSV以上は居住禁止区域(事故の5年後)。それを考慮すれば外部被爆だけ考えても福島に注意が不要な地域はほぼない。」となると思います。放射能の被害の多くは内部被曝であることも考慮すべきでしょう。
あと除染が進めば、のような楽観的な意見もありますが、チェルノブイリの例でいけば軍隊も含め80万人以上投入し、膨大な予算をつぎ込みましたが、結論として除染は無駄ということになりました。汚染されるのは土だけではありません。水も木も建物も生き物も汚染されるわけでそれを全部入れ替えるとか普通に考えて無理であり、除染には「安心してもらう」、もしくは「何かやってます」というアピール以外に意味がないのは明白です。
おそらくこうした論争は「安心させたい」側と、「危険があるの知りたい」側の立場が違うのでいつも平行線になりますね。
お礼
警戒区域から強制的に避難した人たちも退避行動を取ったんですよ。 退避行動とは何らかの対放射線対策を取るということで、高放射線量地帯から低線量地帯へと移動するのも退避行動の一種です。 高線量のグランドの土ぼこりが入って来ないように窓を閉じるとか、外出時にはマスクをするとか、それらみな退避行動です。 それらの退避行動を取った動体としての被調査者の被曝量がそれだけの量であったということですから、退避行動を取らなければどうなっていたのか、退避行動を取った調査対象を把握するだけで当地の実態を判断する事ができるのか、そのあたりの感覚が甘いんだろうと思います。 例えば、火山の大噴火があったとして、危険地帯から脱出して来て道路を右往左往している人々の服装に付いた火山灰の量を調査し、「この程度の量なら火山噴火の程度は大したことはない」と公言するようなもんです。 人はそれを見て「馬鹿なんじゃないの?」と言います。 被災者への今後の医療活動の方針を探る上ではそのような調査は有功ですが、被害の実態を把握し今後の復旧対策を練る上では全然不足であり、国の行く末、民の将来を誤りますよ。 一般庶民を扇動して寝かしつける方便には利用できるというだけです。 そういう目的をしっかりと自覚しておられるのでしょうかね?
補足
まとめておけば 退避行動とは、何らかの放射線対策を取るということ。 その種の退避行動の有り無しとは無関係な、現状を正確に把握する手法・データが必要。 紹介してくれた調査は、退避行動を取っている被災者への医療支援の役に立つのみで、しかし現状の正確な把握は不可能。 現状把握をさせないで安心させるようなデータばかりを前面に出そうとするから、人々手は「国が嘘を~」とか「あれがごまかしを~」という気分になる。 以上、理解していただけたのか、どうなのか。