こんにちは。
夢で触られた感覚が残っているというのはそれほど珍しいことではありません。夢といいますのは「記憶の再生」によって作られるものです。感覚器官からの情報を受け取り、これを感覚と認知するのは大脳皮質であり、それは我々の脳内に感覚記憶として学習されています。そして、その記憶が夢の中に感覚として再現されるわけです。
夢で最も多いのは「視覚」であり、次いで「聴覚」「触覚」でそのほとんどを占めます。「味覚、嗅覚の夢」といいますのは全体から見れば数%程度ですがちゃんとあります。
このように、何と言いましても視覚がダントツなのですが、「触覚(触られる)」というのは決して少ない方ではありません。ただ、痛覚というのはたいへん珍しく、夢の中で痛みを感じることはほとんどないと言われています。ところが、つい先日「心理学のカテ」なんですが、夢の中ではっきりと痛みを感じたという質問者さんがおられました。これはけっこう貴重な体験ということになりますね。
このように、どんな感覚でも夢に出ることはあります。夢には「感覚夢」と「心理夢」があります。感覚夢といいますのは寝ているときにたまたま感じた刺激が切っ掛けとなって夢に表れるものです。ただ、目は全く見えていませんので、この場合は逆にほとんどが聴覚や触覚ということになります。また、何か匂いがあれば嗅覚の夢を見るチャンスになるかも知れません。
但し、その感覚がそのまま表れるとは限りません。例えば、腕が圧迫されていれば腕を掴まれる夢、首に毛布が絡まっていれば首を絞められる夢といった感じですね。これは、このような感覚刺激が切っ掛けとなり、そこから心理夢が作られてしまうからです。
では、これとは別に夢の中で幽霊に顔を触られたと証言するひとはけっこう多いです。これは、怖い、触られたくないといった心理が逆に触られたという感覚を印象付けてしまうのではないかと思われます。もちろん、寝ているほっぺたにたまたま何かが触れたため、それを幽霊の仕業と思ってしまうことも往々にしてあります。
心理夢と感覚夢では「夢の切っ掛け」は異なるのですが、内容で区別することは困難です。まして我々は寝ていますので、それが実際の刺激であったのか心理的な思い込みであるのかを後から確かめることはまずできません。ただ、例えば起きたときにたまたま猫がお腹の上に乗っていた、ならば、お腹を抑え付けられる夢は猫のせいだったという可能性はかなり高いです。また、夢の中に何らかの感覚が印象に残るのは、神経がやや高ぶった状態である場合が考えられます。
お礼
御回答ありがとうございます。とても勉強になりました。