まず日本経済の基本的な仕組からおさらいしましょう。
日本は海外との輸出入が無いと絶対的に経済が成り立たない国です。それは食糧の60%、化石資源(石炭・石油・天然ガス)のほぼ全量、鉄鉱石などと一次資源のほぼ全量を輸入して、それらを加工して輸出することで外貨を稼いでいるからです。輸入代金を支払うために輸出で稼ぐということです。
だから日本にとって最重要なのは、通貨政策です。すなわち為替レートを適切に維持できないとたちまち日本は破綻します。現在、為替レートは1ドル80円前後で推移しています。これが仮に1ドル40円になったとすると輸入代金が半分になります。1ドルの商品を80円でなく40円で購入できるからです。しかし、そうなると逆に輸出品が売れなくなります。ドルベースの価格が2倍になるからです。輸出品が売れないと、輸入品に払う代金を支払えない。
逆に1ドル160円になると今度は輸出品が半分の価格になるので飛ぶように売れることになるが、輸入代金は2倍になってしまう。
ここで問題なのは、日本は輸入品がどれだけ高くても輸入せざるを得ない立場だということです。高いからといって輸入を止めたら、8000万人の国民が餓死する。
しかし日本の貿易相手国が日本からの輸入を止めても誰も餓死しません。日本は食糧を輸出していません。日本車の購入を止めてもアメリカ人は決して餓死しない。
したがって、日本にとって最重要な課題は為替レートをどうやって適切なバランスのとれた水準に保つか。どうやって輸出産業の競争力を維持できるかということです。
電力政策を論じるとしても、それらが最重要課題であることには違いない。
原発を縮小し、自然エネルギーを拡大する政策が為替レートと輸出企業にどう影響するかを検討することが重要です。
ところが現在、世間的に論じられているのは電力が足りるか足りないかといった事だけです。これがいかに愚かで偏狭な視点であるかはいくら強調しても強調したりない。
電力がいくら足りても、それが電力料金の高騰につながったりすれば、それはたちまち輸出産業のコストを上げることになるので輸出産業の競争力を落すことになってしまうのです。
日本経済は世界経済と極めて密接に相互依存し、非常にデリケートな関係があります。それが日本経済の宿命である以上は、ひとつのパラメータを思慮もなく激変させることは極めて危険だということです。
残念ながら菅総理大臣にどれほどの経済認識があるのか心許ないものを感じています。私には菅総理がいきあたりばったりに民意におもねっているとしか思えません。とまでいいきったら言い過ぎかも知れませんが。
日本は日本人が考えているよりもはるかに経済大国です。日本がちょっと体の向きを変えただけでも、それで吹き飛ばされてしまう国がある。日本は日本だけを見ていてはいけない。海外諸国にどんな影響を与えてしまうのか。海外が日本をどう見ているか。そういうことも考え合わせながら、慎重に行動しなければならない。そういう態度がないと到底日本経済の舵取りはできません。
以上の基本認識から、私は原発政策についても激変は危険だと考えています。拡大にしても縮小にしてもどちらにしても激変は好ましくない。内外に与える影響を注意深く見守りながら、少しづつ舵を切る必要があると考えるのです。
質問に対する回答としては、質問者さんの見解に大筋で同意できるというものです。
どうも日本人はともすれば視野狭窄に陥り、拙速に結論を急ぎ、暴走を始めてしまう悪癖があるように思えてなりません。世界あっての日本ということを忘れてもいけない。
それが戦前の過ちだったのではないでしょうか。
お礼
早速のご回答有難う御座いました。 私の考えていたことは間違いではないことに安心。しました。 マスコミの誘導による原発廃止論には。一寸首を傾げていました。 再生生可能エネルギーだって今までなぜ利用しなかったかを考えれば、再生可能エネルギーは恒常的に安定したものでないといった、多くの問題があるからです。 それを克服する技術がありません。孫さんに言う提案も太陽パネルを大規模に設置する場所は有りません。 候補地の苫小牧だって冬季の積雪はどうするのか疑問です。 原発は危険ですがその危険を回避する技術はありますが、原発を安全に運営することに手抜きをしたから今回の事故が起きたのですから、人間の英知で原発を安全に使うことは可能ですので、日本は原発をなくさず今より減っても良いから、存続すべきではないでしょうか。