進行がん、と最近は言うようです。
家族が直腸がん(rs部)、高度肝転移、肺転移で手術適応外と診断され昨年から闘病中です。
がんの怖いことはかなり進行しても自覚症状がほとんどないことです。
ですけど今日出来ていることが3日後にはできなくなる、という病気です。
家族の場合は腸閉塞がきっかけでした。そのためストーマ手術をしています。
ご家族のことご心配と思いますが、化学療法=全身療法がどういったものか、結果として何が得られて失い物は何なのかを良く調べてご家族で方向をお考え下さい。
私の家族の場合はFOLFOX4+アバスチンという化学療法を合計9回。得られたものは腫瘍の縮小による病状の進行の阻止が3ヶ月半。薬の利きが悪くなり5月下旬にFOLFILI+ベクティビックスを1回投与するも一回で中止。得られたものはイリノテカンの副作用である強い吐き気とアバスチン投与中止に伴うリバウンドによる病状の急激な進行、はっきり行って、「急激に」進み、それまで肝臓の腫瘍がなかった部分に5cmくらいの大きな腫瘍が一ヶ月経たずに現れました。急速な肝臓の肥大で腹部に痛みを感じるようになり、ストーマからは居場所がなくなった腸が常時脱出している状態です。
更にたちが悪いのはFOLFOXの副作用、特に白金系製剤の副作用は投与中止後もどんどん悪化していく、という事です。ひざ上までの痺れ、感覚がなくなる感じで片足で立つのが難しいです。舌先の感覚もしびれてきており、味覚障害というより、食感がわからなくなってきて、口からの食事の摂取に支障が出てきています。
ですが、本人は食欲もあり、元気ですし、私が少々手伝ってはいますが家事もこなします。食欲があっても量は副作用のために非常に少食です。
全身療法に関しては、これまでに既に主要なレジメンを使っており効果と副作用(得るものと失うもの-当然最初の薬剤が一番利き、だんだんと利きが悪くなり、逆に副作用はだんだんと重症になっていきます)を考えると選択対象にならないどころか、元気な今の状態をどんどん悪くするだけと考えています。
家族と話しているのは、全身化学療法は継続しない、局所療法を続け、QOLを落とさずに一日でも長く過す、という方向です。肝臓転移には肝動脈閉塞療法で時間稼ぎをし、原発は姑息的手段ですが切除してくれる医師を探し切除します。肺転移は今のところ5mm以下の転移が10以上ありますがすぐには悪さをしないのでいわゆる代替療法で付き合おう、と話しています。骨転移が出たらそのときはまた考える、です。個人的にはもとは同じ癌でも転移した以上、全く同じ性質を持っているわけないし独立して症状が進むと考えるのが自然ですから.「全身を同じ治療をする」という発想は冷静になって考えると論理的でないと思います(っていうか、最近気がつきました-手術後の転移予防のため、は納得がいきますけど)。
調べて後でわかったのですが、固形癌は化学療法では治らない、と国立がんセンターが公表していますので、治癒を目指すのではなく、もう一日、もう一週間、もう一ヶ月と、全身化学療法以外でがんばっていくつもりです。固形がんと化学療法はインフルエンザのタミフル、結核のストレプトマイシン、との関係とは似ても似つかぬものであることを十分ご理解下さい。
治療方針を選択し、決めるのは医師でも、病院でもなく、ご本人とご家族です。とくに癌においてはここが大切です。治療法の選択は情報量の勝負です。ご家族ががんになるとは恐らく全く考えていらっしゃらなかったと推察しますので情報収集も前もってされているとは考えにくいですが、とにかく情報です。がん治療は「標準治療」として各学会が推奨している治療法があり、全国どこでも同じ治療が受けられるすばらしい側面もありますが、逆に「標準治療」以外の治療を大多数の医師が選択することがないという弊害をもたらしていますので、十分に情報収集された上で、ご本人、ご家族で決められると後悔しないと思います。そしてその考えを受け入れてくれる医師、医療機関(勿論、複数になるでしょうけど)に巡り会われ、ご家族のご病状が好転される事をお祈りしています。
お礼
早速のご回答有難う御座います。 未だ現実感が沸いてこないのですが、楽観できる状態では無いのは確かなようですね。 不安が有りますが、主治医と話し合って出来る限りの事をしていきたいと思います。