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2つの火災保険
先日アパートの大家さんと話をしました。 そも時大家さんは 「アパートに自分でも火災保険を掛けている」と言っていました。 「時々入らない人がいて、万一の事があったら大変だから」と。 ちなみに私は契約更新の度に、管理会社が勧める火災保険に入っています。 この点、もし実際火災が生じたとき、大家さんは、自分が入っている火災保険と 私が入った火災保険の2箇所から保険金を受取れるのでしょうか? もしどちらかしか適用できないのだとしたら、自分が入る保険のメリットが ないのではないか?と思いました。 アドバイスを頂けましたら幸いです。 よろしくお願い致します。
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建物は貴方の物ではないので、貴方が建物の火災保険を付ける ことは通常あり得ません。 あなたが付けるのは貴方の家財ですが、それに「借家人賠責」 という特約を付けるように求められる事が多いのです。 これは貴方が火元の場合には、貴方の賃借部分の損害を大家に 賠償する義務があるからです。 (民法415条 債務不履行責任といいます) もし貴方の過失でアパートが全焼しますと下記の問題が 発生します。 (1)貴方の賃借部分の損害は貴方が大家に賠償。 (2)他の部屋の建物部分や類焼被害者の家財への賠償は原因が 故意・重過失ではない限り「失火法」により賠償義務なし。 (3)大家が建物に火災保険を掛けておれば、アパート全体の損害 はそれで補償される。 >私が入った火災保険の2箇所から保険金を受取れるのでしょうか? 大家が(3)で保険金を受け取れば、その金額の範囲で二重に受領は できません。 (1)で払われるのは、大家が火災保険に加入していなかったり、 加入金額が極端に少なく、時価にも満たないような場合です。 通常はまず大家が加入の火災保険が先行して支払われます。 大家はそれが時価額にも満たない保険金なら、その差額を 火元に請求できます(賠償請求はあくまで時価額限度) 大家の火災保険で大家の保険会社が払うと、火元に対する 求償権は保険会社に移り、保険会社は火元に保険金の返還 請求(時価額限度)をする権利を有す事になりますが、 実際に求償権(返還請求権)行使をするのは火元に 故意・重過失があった場合のみです。 これは火災保険約款に「求償権不行使条項」があるからです。 以上の中で、大家さんが充分に自分のアパートに火災保険を 付けておれば、借家人賠責の特約が適用されるのは貴方に 故意・重過失があった場合となり、限定的となります。 こういう仕組みの中で借家人賠責の料率は構成されている とも言えます。 なお、重過失は天ぷら油の過熱や寝たばこなども含まれる 事もあり、「失火法」は適用されず、大家さんに対しては もちろん、隣室などの類焼被害者にも賠償義務が発生します。 そのためにも、類焼損害補償特約とか個人賠責特約も付けて 置くべきですね(特に木造アパートの場合)。 (注)「失火法」=失火の責任に関する法律 失火によって第3者の身体・財物に損害を与えても 火元は賠償する法的な責任がない という古くから ある法律です。 ただ、故意・重過失による場合にはこの法律は適用 されず、類焼被災者に対する火元の賠償義務が発生 します。 一方火元の部屋の借主の家主に対する賠償責任には この「失火法」は適用されず、上述の「債務不履行責任」 が適用されます。 そのためにも「借家人賠責特約」があるのです。
お礼
大変分かり易い、専門的な御回答を頂けて大満足です! 有難うございました!