逆。
知識が無い人をハッカーとは呼ばない。
ごく簡単な話。
元々ハッカーは、コンピューターや機械の分野において
技術的な障壁を飛び越えるような
知識や技術や発想を持つ人達につけられた尊称でした。
ですから知識が無いハッカーは存在しえないのです。
WindowsやMacOSX、あるいはiPhoneやAndroidケータイも
そのOSの中には、ハッカーの活躍が詰め込まれて出来上がっています。
ハッカーは技術者の文化で、最高の技術者を指す言葉なのです。
反面、そういったハッカーの高い能力は
場合によっては、規制や制限を飛び越えることもあれば
セキュリティの突破といったカタチでも発揮されてきました。
たとえばiPhoneのjailbreak手段を発見したのもハッカーです。
(それは消費者の利益も生み出した義賊的な活躍でした)
事件報道によって、やっとハッカーは大衆に認知されたわけですが…
同時に、破壊的行為を行なうものをクラッカーと区別するようにもなりました。
これが欧米で起きたわけですが、日本ではハッカーという言葉が
伝わってくる時期も遅かった。また英語が苦手な報道関係者が多い。
そのため、クラッカーという言葉は日本では大衆に広まっていません。
現在では派生して、ライフハッカーという言葉もあります。
徐々にハッカーという言葉はクラッカーと分離しているかもしれませんが
マスコミは誤った用語や誤った報道を、訂正しない普通の壊れた媒体なので
完全に払拭されることはないのかもしれません。
言わばハッカーは優れた能力に与えられた名前で
クラッカーは単なる行為者に与えられた名前です。
本来、今回の事件のような場合、彼らをハッカーと報道することはできないんです。
だって、それが誰でもできるような簡単なことだったのか
それとも、非常に困難な障壁を乗り越えて実現されたのか
それは当事者以外にはまったくわからないんですから
その行為だけをとって、クラッカーと報じるのが自然です。
もちろん、非常に困難だったはずだと考えるべきですが
人が作るかぎり、どこか不完全では無いということはあるでしょうし
まったくの盲点から、セキュリティが崩壊することもありえます。
どちらにせよ、その行為はクラッカーでしか無いのです。
その破壊的な行為に対してハッカーと呼ぶのは間違いです。
電子レンジで温めただけの料理がおいしかったからって
「うちの嫁は料理がうまい」とか言い出したら、ただのバカでしょ?
それと同じレベルの勘違いなんです。
ただ無鉄砲にスピードを出しているだけの若者を見て
「運転がうまい」とはいわず、それは暴走と呼ぶでしょう。
マスコミや大衆は、そういうレベルの区別がわかっていないわけです。
そういうことはコンピューター関連だけじゃなくて、音楽やファッションや
いろんな分野でも日常的に起きているんじゃないかと思うとガクブルです。