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BARTIMAEUSバーティミアス4について
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- bj2727
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紀元前950年のエルサレムを舞台に、バーティミアスがイスラエルの王ソロモンに仕えていた頃の物語です。 〈ソロモンの指輪〉をめぐって物語は展開していきます。 この〈指輪〉には強力な妖霊が閉じ込められていて、その所有者の望みを叶えてくれます。また、〈指輪〉は〈異世界〉への門でもあり、様々な妖霊を容易に呼び出し、従えることも可能となります。それゆえ、〈指輪〉の所有者であるソロモンは隣国を従え、強力な魔術師、多くの召使、妻(700人!)をもち、エルサレムが世界の中心となっています。 しかし、どういうわけかソロモンは以前と比べて〈指輪〉の力に頼ることが少なくなっており、彼に仕える17人の魔術師に頼ることが多くなりました。魔術師たちはそんなソロモンに不満を覚えつつも、常に〈指輪〉の恐怖にさらされ、おとなしく従う他にないという状況です。 そういうわけで、バーティミアスはソロモンに仕える魔術師によって召喚され、ソロモンのために働かされます。本作でバーティミアスは三人の人間によって召喚されます。第一部ではエゼーキル(Ezekiel)という魔術師がバーティミアスの主人ですが、彼はバーティミアスの策によりあっけなくこの世をさります。そして第二部、エゼーキルの訃報を聞いたソロモンは、17人の中でも特に力のある魔術師、カーバー(Khaba)にバーティミアスを厳しく罰するように命じます。そして第三部では、本作のもう一人の主人公アズミラ(Asmira)によって召喚されます。 アズミラはシバの女王の護衛で、17歳の少女です。 ソロモンは、シバの女王バルキス(Balkis)に繰り返し結婚を申し込むのですが、彼女はその度に断っていました。そしてある日、バルキスのもとにソロモンの使者(マリッド)がやって来て、四回目のプロポーズを伝えましたが、やはり彼女の答えは'No'…そこで使者は、結婚を断るのであれば、イスラエルへの服従のしるしとして貢物を要求すると伝えます。使者は、シバが貢物を用意しなければ、ソロモンが〈指輪〉の力を使ってシバに妖霊の大軍を送ると脅し、みせしめとして町の一部を爆破します。 そういうわけでアズミラは、ソロモンを暗殺し、〈指輪〉を奪うという使命を受け、エルサレムへ旅立つことになります。 一方、エゼーキルの死後、カーバーによって再びエルサレムに召喚されたバーティミアスはひどいめにあいます。カーバーは「冷酷」で知られる男で、血も涙もないようなやつです。かなり力のある魔術師で、バーティミアスの他にも、以前の主人を死に追いやったり、致命傷を負わせたりしたような手ごわいジンを七人従えています。その中にフェイキアールもいます。カーバーの指示のもと、八人のジンは丘の上に神殿を建設することになるのですが、ソロモンが魔法を禁じたため、人間のやり方で地道に造ることを余儀なくされます。しかし、ある日とんでもない事件が起きてしまい…(やっぱり原因はバーティミアス!) 丘での事件の後、カーバーと八人のジンの一行は砂漠に盗賊狩りに行かされます。 アズミラの方は、商人たちの一団と共にエルサレムに向かっているところ、盗賊に襲われます。 こうして、バーティミアスとアズミラが出会うことになります。 個人的に印象的だったのは、「同僚」としてのバーティミアスとフェイキアールの会話でした。彼らは共通の価値観も多くもっているし、カーバーという忌まわしい主人を陥れようと度々意見を交わします。が、どういうわけか、結局いがみ合うんです…二人の決定的に違う点は「人間に対する態度」。バーティミアスとフェイキアールが砂漠でアズミラを助けた時に、それぞれがアズミラに対してどういう姿勢を見せたか…『プトレマイオスの門』でバーティミアスは人間の味方となり、フェイキアールは人間に復讐したってことを思い出させます。 ナサニエルやキティもそうでしたが、アズミラもかなり頑固な性格です。女王のために命をかけるところが切ないほど真っ直ぐでした。勿論、バーティミアスとは口論ばっかり。護衛なだけあって、彼女自身が体術に長けているので、バーティミアスがドジを踏んだ時にフォローしたりします。 『バーティミアス』と言えば、やはり「人間と妖霊との関係」だと思います。本作で強烈に印象的だったのは、カーバーと彼に仕えるある妖霊との関係、それに対するバーティミアスの嫌悪です。また、バーティミアスとアズミラの関係やソロモンと〈指輪〉の妖霊との関係なんかも印象的でした。 物語終盤でのバーティミアスの機転は最高にカッコイイです。 あと、やっぱり何だかんだ言ってバーティミアスは優しい!って思いました。