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養鶏場の消毒法についての疑問
強毒鳥インフルエンザの対策で消毒剤を噴霧していますが、どんな薬品にしてもいかにももったいない感じがします。また薬品による汚染なども気になります。同じようにやるならむしろ熱湯洗浄機で噴射するほうが効果もあるように思うのですが、なぜこういう方法をとらないないのでしょうか。
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No.2のJagar39です。 消毒薬ですが、インフルエンザウイルスは何でもよく効くウイルスなので、安価な逆性石けんを使用するのが一般的でしょう。具体的に宮崎の現場で何を使っているかは判りませんが。 この逆性石けん(界面活性剤)には、鶏などに飲ませて使用できる(飲水消毒)ものもあります。人間が大量に飲んだり原液が目に入ったりすればそれなりに支障がありますが、安全性は高い消毒薬です。 消石灰も有効なのでよく使われます。鶏舎の壁や屋根には使えませんが・・・ 口蹄疫だと逆性石けんは無効なので、塩素系の消毒薬がよく使われます。 また口蹄疫ウイルスは乾燥や温度に対しては比較的安定なのですがPHの変動に弱いという性質があるので、炭酸ソーダやクエン酸なども消毒薬として多用されました。 10年前のマニュアルでは苛性ソーダを使うことになっていたりしたものでした。あれは水に溶かすときに激しく発熱するし刺激性のガスは出すしで、本当に危険でした・・・
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家畜伝染病の防疫に携わっている獣医師でウイルスに専門知識を有しています。 ウイルスが熱に弱いのは確かです。ウイルスの種類によって熱に対する抵抗性にも幅があるのですが、インフルエンザウイルスは「熱に弱い部類」に入ります。この熱に対する抵抗性はウイルスの「殻」であるタンパク質の構造に関係するので、同じ種の中では株によって多少の差はありますが、同じウイルスであればまず同じです。というより、熱抵抗性が大きく変わるほどの「変異」があれば、それはもはや「別のウイルス」ですね。 なので「熱湯消毒」は確かに効果的だとは言えるのですが、ご質問のような「畜舎消毒」で使用する際には致命的な弱点があります。 それは、「ノズルから噴出した直後では十分な温度がある熱湯でも、ほんの数m飛んだだけで冷めてしまう」ということです。 高圧高温洗浄機という機械があり、内部で圧もかけて140℃くらいに熱した熱湯を高圧で噴射するわけですが、ノズルの先端から噴出される時点で既に70℃くらいまで落ちています。数mも飛ばせば熱めの風呂くらいの温度まで低下しているので、十分な消毒効果はとても望めなくなってしまいます。 また、壁や屋根にかけた湯が「壁や屋根を伝って落ちてくる」時にはさらに温度が低下しているので、この時点では消毒効果はもはやゼロです。消毒薬なら伝って落ちてくる液にも十分な消毒効果がありますけど。 つまり、熱湯できちんと消毒するためにはノズル先端から数10cm以内の距離で「隙間なく」吹き付けるしかありません。 これでは屋根の上や壁の高い位置の消毒は不可能です。機械を屋根の上に上げるわけにはいきませんし、ノズルまでのホースを長くすれば「ノズル先端から噴出されるときの水温」が下がりますから。 また、仮に「一定以上の水温を常に噴射できる」機械が存在したとしても、壁や屋根を伝うお湯に消毒効果は期待できないので、「全面積にきちんと」かけなければなりません。結果的に消毒薬と比較して必要な「水量」が数倍になってしまいます。 さらにそれで確実に消毒できればいいのですが、「直接噴霧した場所」以外は消毒効果が完全ではないので、「生きたウイルスが大量の水と共に流れていく」という可能性もおおいにあります。 というわけで、「熱湯による畜舎消毒」は現実的ではないのです。 畜舎内部であれば高温高圧洗浄機を使うことはあります。 ただこれは、消毒薬は有機物が多い対象では効果が減じるので、「消毒」前に畜舎内の壁や床にこびりついた糞などの有機物を「洗浄」するために使用します。高温洗浄そのものに消毒効果を期待して使用しているわけではありません。「消毒」の前処理としての「洗浄」として使うわけです。
お礼
ご教示ありがとうございます。かえって危険である可能性もあるということですね。
補足
実際にはどのような薬品を使っているのでしょうか。
- ryuzin
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簡単に言えば、ウィルスはナマモノだからです。大げさに見えるかも知れませんが、 ニュース等で流れている映像での噴霧だけでは実際には足りているかどうかは微妙だと思います。 それ故実際には映像として流れて無くても、1日に何回かに分けて噴霧しているかも知れませんよ? >熱湯洗浄機 熱湯だけでウィルスが根絶出来るのなら苦労はしません。 また、熱に対する耐性を持っていて生き残っていたりしたらやっかいですし、 噴射の余波によるウィルスのさらなる飛散を防ぐ為にも噴霧の方がまだマシかと思います。
お礼
ウイルスは熱に弱いと聞いていますが、ウイルスが死ぬような薬物は人間にも害があるのではないかと思います。しかし現行の方法が最良ということなのであろうと納得いたしました。
お礼
具体的なおはなしを詳しくうかがえて感謝いたします。ありがとうございました。