法律上は、没収の対象になり得ます。
没収については、刑法19条に規定がありますが、この内、19条1項3号後段に
「犯罪行為の報酬として得た物」という規定があります(これを専門筋では報
酬物件と呼びます)。ですから、犯罪を犯すことを内容とする契約の対価とし
て得た金銭は、報酬物件として没収することができます。ただし、あくまでも
没収「できる」だけなので必ず没収されるわけではありません。
従って、回答としては「没収される可能性はあります」というのが正解です。
没収されなかった場合にどうなるかは、法理論的には幾つか考えるべき点があ
りますが、先に実際の話として考えてみれば、犯罪を約束通り実行して受け
取った金を後から依頼者が返せとはまず言わないでしょう?だったら、「事実
上」、Bの物になります。
法理論的には、犯罪を行なうことを内容とする契約がまず708条の守備範囲内
かどうかからして問題があります。判例(そして通説)の態度としては、708
条は基本的には公序良俗違反の場合に適用を限定する傾向があります。そして
刑事罰則規定があることはそれだけで直ちに公序良俗違反となるとは限りませ
ん。ですから、ちょっと具体的には想像が付きませんが、犯罪を行なうことを
内容とする契約だからといって必ず708条が適用になるとは限りません。
ただ、犯罪行為の対価を与える内容は、大体の場合は公序良俗違反で無効と考
えて間違いではないでしょう。そして、無効な契約に基づいて給付した金銭は
本来不当利得となり返還義務がありますが、無効となる原因が公序良俗違反だ
からであるような場合は不法原因給付として返還請求を否定するのが現行法制
度の原則なのですから、原則的には、Bのものになると考えて構いません。
しかし、あくまでも「原則的には」です。具体例は思い付きませんが、思い付
かないからと言って全ての場合に原則通りになるとは到底断言できません。契
約内容如何によっては、不法原因給付によって返還義務を否定してしまうと法
政策上契約を無効とした意味がなくなることがあるので、例外的に認める場合
が100%ないとは言い切れないのです(その理由は、708条本文の適用がない場
合よりも708条ただし書の適用または類推適用による場合の方が多いとは思い
ますが、理論的な可能性としてはどちらもあり得ます)。ですから、個別具体
的な事例においてどんな事情があっても常にBのものになると断言することは
さすがにできません。
なお、没収するとしてもそれは警察の仕事ではありません。裁判所の裁判に基
づいて「検察官が執行する」ことになります。
お礼
そうなんですね。詳しい規定までありがとうございます!この場合はBさんの物なんですね。 やっぱりその100万の出所が重要ということなのでしょうかね? いつもドラマはA,Bさんのような人が捕まったら終わりで、その後が気になってたので勉強になりました!ありがとうございます。