中国にとっては黄海は自国の絶対領海みたいなもので、またそうなるよう努力してきました。
今年2010年までに黄海含む第1列島線内の海域の制海権を握り、絶対防衛権としておくのが、中国の国家戦略。
--------- 中国の海洋戦略 ----------
(1)1982-2000年(沿岸防衛をほぼ達成)
(2)2000-2010年(第1列島線内の制海権確保)
(3)2010-2020年(第2列島線内の制海権確保/通常型空母2隻建造)
(4)2020-2040年(米海軍の太平洋・インド洋覇権阻止/原子力空母2隻の建造計画開始)
(5)2040年(米軍と対等な海軍建設)
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第1列島線とは、日本の九州・南西諸島・沖縄諸島、台湾、フィリピンを結ぶ線。
第2列島線とは、伊豆諸島・小笠原諸島、マリアナ諸島を結ぶ線。
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中国の尖閣諸島への実力行使や領有権主張も、形の上での上記戦略の完成を国内の共産党勢力に示したいがため。
上記の(2)を今年中に実現できれば政権の功績になるし、実現できなければ政権の失策・失敗になり敵対派閥からの攻撃を受ける。
なので中国人船長問題では中国政府はああまで強硬だった訳です。
黄海への米軍空母侵入も同じ理由から拒否した訳。
去年や一昨年ならイザ知らず、2010年になってから敵海洋部隊の攻撃主力の原子力空母が絶対防衛圏の黄海に侵入したら、上の計画の(2)の完成が主張できなくなる。
また、軍艦というのは戦争中以外には「戦争をしてない」ので、戦争以外の何かをしている訳です。
「戦争以外の何か」の中で、敵にとって最も危険行為は、「戦争のような事をする」軍事演習。
その最も危険な軍事演習を、今年までに絶対防衛権にしておくはずの黄海でされたら、メンツも潰れるし、軍事的警戒態勢を取らなければならないし、軍部からは弱腰を責められるし、政治的敵対派閥からは長期海洋計画の失敗を責められる。
要するに中国の政権基盤が危うくなる。
黄海で米軍空母が演習するというのは、日本の東京湾でロシアや中国の空母と強襲揚陸艦と駆逐艦と潜水艦が軍事演習して、実弾を東京湾にぶちかまし、戦闘機を東京湾上に飛ばし、陸兵を沢山乗せた揚陸艦を東京湾岸辺キリギリまで近寄らせ、潜水艦の潜望鏡が東京沿岸の重要施設に向けられる… という、そういう日本にとってはギリギリの状況と同じ事。
実弾を所持しているのであれば、敵の近辺で実施される軍事演習は多くの場合に即座に敵に対する攻撃に切り替え可能であり、その意味で大強度の軍事的威嚇に成ります。
中国人は日本人と違って平和ボケしてないから、軍事的危機は正確に感ずる。
また、北朝鮮は軍事ボケしているから、近海での軍事演習は、素直に敵の軍事威嚇・軍事攻撃と受け取る。今回のように反撃してくる事もありえます。
また、前回の軍事演習で米軍空母の黄海演習が取りやめになったのは中国側の抗議のためでしたね。北朝鮮もずっと罵倒していた。
韓国も米国もそれに応じた。
お礼
回答有難うございます。 >黄海で米軍空母が演習するというのは、日本の東京湾でロシアや中国の空母と強襲揚陸艦と駆逐艦と潜水艦が軍事演習して、実弾を東京湾にぶちかまし、戦闘機を東京湾上に飛ばし、陸兵を沢山乗せた揚陸艦を東京湾岸辺キリギリまで近寄らせ、潜水艦の潜望鏡が東京沿岸の重要施設に向けられる… という、そういう日本にとってはギリギリの状況と同じ事。 東京湾と黄海では広さが違いますが日本近海で演習をされたら確かに面白くないですね。