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クローン技術はなぜ普及しないのですか?
クローン技術はなぜ普及しないのですか? 最初のクローン生物(ドリー)が誕生してから15年くらいたちます。 絶滅し、剥製がのこっている動物を復活させられるという期待がありました(反対もありました)が、実現したという話を聞きません。 何が問題なのでしょうか?
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Jagar39です。 繁殖技術を少しまとめてみます。 1)人工授精 雄から精液を採取し、人工的に雌に授精する 1回の採精で最大数百頭の産子を得られる 2)受精卵移植(体内受精卵) 雌に"過排卵処理"を施して授精し、子宮から受精卵を回収して別の雌に移植 1回の採卵で最大数頭から10頭程度の産子を得られる 3)受精卵移植(体外受精卵) 卵巣から未受精卵を回収、培養し、精液をかけて(培精)授精させ、雌に移植する 1個の卵巣から最大数十頭の産子を得られる 4)クローン(受精卵クローン) 受精卵の核を別の受精卵の核と置き換える 5)クローン(体細胞クローン) 体細胞の核を受精卵の核と置き換える 経費や手間暇、技術的な難易度が軽いもの順に並べています。 現在、畜産分野(牛)では3)までが完全に商業ベースで実用化されています。 で、これらの技術の本質的な違いは、1)から4)までは生まれてくる産子の"能力"が完全には判らない、という点です。 どれだけ優秀な雄と雌を交配させても、遺伝はランダムですから産子が望む遺伝子セットを持っているとは限らないのです。 5)だけは既に能力が判っている成体の遺伝子そのものを持つ産子が得られるわけですから、これは言うなれば「遅れて生まれてきた一卵性双生児」と同じ、ということになります(テロメアの問題は省略します)。 例えば宮崎の口蹄疫の際に問題になった種雄牛ですが、非常に優秀な種雄牛の産子は必ず優秀か、というとそうとは限りません。その種雄牛の産子を何百頭も検定してようやく数頭の「親並みかそれ以上の能力を持つ牛」が出てくる程度です。 なので受精卵クローンだと「スカを大量生産してしまう」リスクがあるわけで、畜産分野では本当に利用価値があるのは体細胞クローンのみ、ということになります。 受精卵が2-4細胞期に分割する技術(分割受精卵と言います)は既に実用にはなっています。 これはその分割した受精卵を他の卵細胞に入れる必要はなく、そのまま受胎させればそれぞれが1個体になるので(高校の生物あたりで習いますよね)、リーズナブルと言えばリーズナブルな技術です。 でもこれも「スカを4頭も作ってしまう」リスクもありますし、分割した受精卵の受胎率もあまり良くないといった理由から、あまり行われてはいないですね。 その分割受精卵を4分割する、というのも理論的には可能で、そうすればコストは一気に1/4になる、のは確かなのですが・・・ そもそもクローニングした受精卵の受胎率自体が非常に低いので(卵細胞の核を抜いて別の核を入れる、という乱暴なことをしているので当然といえば当然ですが)、それを分割するとさらに受胎率が下がってしまいます。つまり、ほとんど受胎が期待できないという事態になりかねません。 というわけで、体細胞クローン-分割受精卵は今のところ極めて期待薄ですね。
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- DoubtOwl
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既に論じられている産業に関しては人工授精になりますし手間も時間も費用もかかってしまいますね。 ただ、最近、宮崎牛の種牛が口蹄疫で脅かされたことからクローンの話があがっていました。 質問の絶滅した動物に関しては まず第一にドリー場合(体細胞クローン)は受精卵の核を取り除き、ドリーの核を代わりに入れました。 この方法ですと、受精卵が必要になるので剥製から細胞をとったところで古く、壊れているため使えません。 冷凍保存されているものがあれば、昨今研究されているiPS細胞にすることで復活させられるかもしれません。
お礼
回答ありがとうございます。
- Kunfu
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獣医師さんの経済的なお話は勉強になりました。 商業的に優秀な肉牛を多く育てようとするなら、体細胞クローンより優秀な肉質の受精卵が4分割くらいしたところで分けて、他の卵細胞に入れて4頭にした方がよいと思います。 それもコスト倒れでしょうか? 生物学的に哺乳類クローンの問題は、テロメアの問題じゃないですかね。 動物の遺伝子の端にはテロメアという部分があって、細胞分裂をするたびに短くなってやがて分裂しなくなります。 細菌とかガン細胞の遺伝子にはそれがないので、無制限に分裂します。 動物細胞の寿命を決めているのではないかという部分です。 クローン羊のドリーですが、不幸なことに呼吸器系の疾患により普通の羊の寿命の半分6歳で安楽死させられました。 ドリーを調べてみると、老化現象が見られていたんです。 体細胞から取った遺伝子が、新品の卵細胞に入ったからといってテロメアが生まれたばかりの状態に戻るわけではなさそうです。 なんらかの方法でテロメアを延ばすことができれば解決するんじゃないかと思いますが、何かというと「遺伝子組み換えでない」が求められる日本では商業的に無理かもしれません。
お礼
回答ありがとうございます。 >ドリーを調べてみると、老化現象が見られていたんです。 遺伝子が同じでもクローンの方が老化スピードが早いということですか。
獣医師です。昔、クローンにも研究員として少しだけ関わったことがあります。 現在は牛の体細胞クローンもほぼ「実用化」されています。またクローンで作出された動物にも繁殖能力があることもずいぶん前に証明されています。 結局、多大な手間暇と金がかかるクローン技術を使って、何を作れば経済的にペイするのか?という問題が1つあります。 例えば私たちの口に入る「肉牛」をクローニングで作ったとしても、とても経済的にペイするものではありません。普通に生まれた牛さえ農家にとってはペイしない場合もあるのに・・・という問題です。 もう1つは、クローンに対する世間の拒否反応がまだ根強いことが挙げられます。 経済的理由以前に、その理由で「クローン牛」は肉牛として出荷することはほぼ不可能な状況です。 なので、現在は優秀な種雄牛をクローニングし、それをまた種雄牛として使う、というような利用方法が主体ですね。 それもまあ、家畜は日々「改良」されていくものなので、「前と同じ」ものを金と人をつぎ込んで作る価値があるのか?という疑問はありますけど。 絶滅動物の復活については、道義的な疑問もありますし不況などの影響で研究費がおりにくくなっていることもあるでしょう。 ほ乳類のクローンについて「異常」が見られるのは事実です。だからといって実用にならない、というわけでは決してないのですが。
お礼
回答有難うございます。 >多大な手間暇と金がかかるクローン技術を使って 費用がネックということですね。
- Tacosan
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ドリーは「最初のクローン生物」ではありませんよ. しいて言えば「最初の体細胞クローン哺乳類」くらいでしょうか. 「クローン技術」そのものはいろいろあって, そのうちには「広く普及している」ものもあります. たとえば植物の挿し木や取り木はよく使われますし, 今ではは成長点培養などの方法も普通に使われています. 一方動物でも受精卵をベースにしたクローン技術は優良な牛を育てるために使われています. 体細胞クローンも, アフリカツメガエルで成功しています. 哺乳類でもいろいろ成功しているみたいですね. で問題点は.... とりあえず成功率と「現時点ではどの体細胞クローン哺乳類においても何らかの異常がみられる」というところ?
お礼
回答有難うございます。
- kurisogeno
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コピーと言う複製には、寿命と言う期間が未だに 設定できません、つまり 複製元になった動物の寿命が 元の年月に耐えられるか?どうかは未だに不確定です、 それに、複製を作っても生殖能力が欠落していたのでは 複製に成功したとは言えません。 色々と未だに問題が解決できていないの普及は難しいと思えます。 単なる複製は出来ても、生物としての複製には未だに問題が 山済みのようです。
お礼
回答有難うございます。 >つまり 複製元になった動物の寿命が元の年月に耐えられるか?どうかは未だに不確定です、それに、複製を作っても生殖能力が欠落していたのでは複製に成功したとは言えません。 遺伝子が全く同じなら寿命も生殖能力も同じでは?
お礼
回答有難うございます。 畜産の面で研究開発が進んでいるようで嬉しくなります。