Jagar39です。すいません。続きです。
なので一連(県有牛の特例措置を含めて)の種雄牛問題での宮崎県知事の発言や措置は、私は「非常に『畜産』をよく知っている」と思いました。
県有牛の特例措置は危険な賭けだとは思いましたが、結果的に賭けに勝ち、宮崎県はとりあえず「産地として存続できる」可能性が残されたわけです。あの5頭が殺処分されていれば、和牛の産地としての宮崎県は終了決定、でしたから。
民間種雄牛はどうでしょう。国とケンカしてまで残す価値がある牛かどうかは疑問でしたが、強行執行した場合に所有者が法的手段に訴える、と明言してましたよね。
直前にもっと危険な状況で「特例」を認めているだけに、国と県は訴訟を起こされても必ず勝つという保証はなかったのではないでしょうかね。どうでしょう。
宮崎県知事の対応、つまり種雄牛を県に無償譲渡して前例に沿って助命する、というのも政治的にも非常にバランスが取れた判断だったと個人的には思います。種雄牛の価格はピンからキリまでですが、でも「中の下」クラスでも数百万は取れるでしょう。それを無償で県に取り上げられる、ということで所有者に対するペナルティにもなっていますし、所有者も「私利私欲で助命を主張していたのではない」ことを行動で証明できます。その後は前例があるからスムースに行くはず、と。
繰り返しますが、個人的にはこの判断は政治的にバランスが取れた良い判断だったと思います。大岡裁きみたいな。
国が問答無用で蹴ったのは「話が分からないやつだ」と私も思いましたさ。
この国の「どうしても殺処分」というのは「単なるメンツ」です。
殺処分当日に移動制限の解除を許可したのが何よりの証拠です。
法では移動制限の解除は「発生農場の防疫措置終了後21日間」はできないことになっています。防疫措置というのは、殺処分と畜舎の消毒措置等です。
件の種雄牛は法的には「発生農場」ですから、本来は殺処分が終了した当日に移動制限解除などあり得ない話です。
つまり、国も件の種雄牛が「感染している可能性などない」ことは知りきっていたわけですよ。もし感染している可能性が僅かでもある、と言う認識なら、殺処分して21日間は移動制限は絶対に解除できません。まあ制限も解除も、その対象になる家畜が既にいないわけですが。
移動制限の解除や清浄国への復帰等は、抗体検査などで「ウイルスはもう存在しない」ことを証明すれば法的にも国際的にも可能です。
OIEに清浄国復帰を認められれば諸国が日本に対して実施している輸入停止措置も解除せざるを得ませんから、国側の「どうしても殺処分」という理由はどれも筋が通っていません。
宮崎県知事、引き方も綺麗でしたよね。これ以上ケンカしても得はないことは判っていたと思いますが、誰もが納得できる形(国を悪者にできる)で綺麗に幕を下ろしました。
ということで、この人、政治家としても一流だなぁ・・・と私は思っていたりします。
知事就任早々に鳥インフルエンザに巻き込まれたので、「家畜伝染病」というものに対する認識は内閣よりよほど的確です。「畜産」というものもとてもよく知っている、と思いますし。
これまで私の中ではそれほど評価が高くなかったのですが、今回の口蹄疫で本当に見直しました。
お礼
皆さんありがとうございました。