>状況から見て外部からの攻撃と考えられるのでしょうか?
現在の時点で得られる限りの情報では、今回の哨戒艇沈没事件に関しては「攻撃」という言葉は当てはまらないと考えます。ただ「外部」からの要因で沈没したということは肯定せざるを得ないでしょう。結論から言えば私は今回の犯人は朝鮮戦争当時に敷設された沈下機雷だと思っています。
機雷というものは寿命の長い兵器で、海中にあって錆びだらけになっていても、中身はしっかりと生きていることが良くあります。日本の主に機雷などの水中兵器の除去作業に当たる海上自衛隊の掃海部隊は、世界的に見てもトップクラスの実力を持つ自衛隊唯一の実戦部隊ですが、この部隊は今でも太平洋戦争時に日本を取り囲むようにして敷設された各種の機雷を除去することが主任務です。これをを見ても機雷という兵器のいやらしさが良く分かります。
>北朝鮮が攻撃する可能性はどれくらいあるのでしょうか?
限りなくゼロに近いと考えます。ここ数日の韓国での報道や軍部のプレス発表を見れば、今回の沈没原因は種類の特定は出来ませんが、機雷による爆発によって沈没したものと断定しても良いかと考えます。それは被害を受けた哨戒艇の破損状況や沈没状況を見ても、触雷による被害の特徴を良くあらわしています。ではその機雷を北朝鮮が敷設したと考える線はといえば、これもほぼゼロに近いでしょう。
今回の沈没地点は南北の海上での軍事ラインに近接したホットスポットですので、この近辺の韓国海軍側の警戒度は他の地域のそれとは段違いの濃密さを見せており、海上海中に関わらず常に北側の不法侵入に目を光らせています。もっとも人間がすることですから多少の抜け穴はあるかもしれませんが、それでもこのあたりが20~30メートルの深度の海で、しかも常に早い潮流に晒されていることとその流れの方向を考えると、北側がいかに巧妙な手段で機雷を敷設しようと思っても非常な困難が伴いますし、その意図があるとしても事前に発見探知されると考えます。
たしかに現在の南北間の政治環境は思わしくなく、また北朝鮮の国内事情が悪化の一途をたどっている状況を見れば、共産国や独裁国の十八番である、国民の不満をそらすための恣意的な軍事的緊張の捏造も考えられないこともありませんが、今回のような直接的に対立国に人的被害を出させるような手段はあまりにも無謀です。下手をすれば自国の体制そのものの崩壊にもつながりかねません。
いくらかの国の将軍様が超独裁の冒険主義者とはいえ、ここまでの無謀なことをしでかすことの愚かさはわかっているはずです。まだまだ喜び組のおねえちゃんに囲まれながら、高級洋酒やマグロに舌鼓を打ちたいでしょう(もっとも今の健康状況ではさすがにそれは無理かも…)。
>北朝鮮に見せかけた他国の可能性があるならそれはどの国でしょうか?
このようなシナリオを描いて得をするような第三国が思いつきません。南北間が戦争状態に陥ることで政治的経済的に漁夫の利を得ることの出来る国は現在のところないと断言できます。
>原因が攻撃の場合今後どのようなことになってしまうのでしょうか?
先にも書いたように機雷というものは非常に厄介な兵器で、今でも世界のどこかで第二次世界大戦から朝鮮戦争・湾岸戦争までのあらゆる戦争において使用された各種の機雷が、ある日突然静かに息を吹き返して軍民問わずあらゆる船舶に被害を与え続けています。百歩譲って今回の事件が「攻撃」だった場合、まず求められるのはその攻撃を意図し実行した組織や国家、あるいは人物の特定です。しかし今回の爆発物が機雷だったとして、その機雷の生産国や敷設した者、さらにはその時期などを特定できることはかなり悲観的であるといえます。もっとも個人的には今回悪さをした機雷は朝鮮戦争当時に敷設されたもので、敷設者は米ソ両国が考えられます。
もし攻撃した側が確定されたとしても、そのこと自体を相手がはなから否定し続ければ、もうそれ以上の行動は起こせないと考えます。現在の韓国政府の国内状況や国民感情を考えれば、だからといって攻撃をしたと考えられる国へ宣戦を布告しようとか、報復の意味で限定的な軍事行動をしようなどということはありえないので、やはりこのまま泣き寝入りということになるでしょう。
>日本はいったいどんな影響を受けることになるのでしょうか?
韓国政府が冷静な態度で今回の事件に当たるのならば、日本に直接的な影響は何もありません。強いて言うならば、日本としては今回の事件の調査状況を注意深く見守り、今後とも日本近海、あるいは港湾に眠っているかもしれない戦争の遺物である機雷除去の作業に生かしていくことが必要かと考えます。
お礼
すごいわかりやすいです。 イケガミさんみたいですw 良回答です。