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電力の輸送
A地区とB地区(各々、発電所です)の電圧が同じ大きさだったとします。 この場合、電力は輸送できるものなのでしょうか? おそらく(勝手な予想ですが)、直流ではなく、交流なら大丈夫だと思うのですが…。 理由と共にわかりやすく教えていただけないでしょうか? A地区の電圧 EA B地区の電圧 EB 送電線のインピーダンス ZAB ΔE=EA-EB 潮流 IAB=ΔE/ZAB
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- GTAC
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6番の回答が工学的には正解ですが、ちょっとわかりにくいと思いますので補足します。 この質問は電力工学(送電)の、「送電方程式、負荷周波数制御」についての問題です。交流電力を取り扱う場合、電流と電圧の大きさ、位相差がありますので、複素数(三角関数)で取り扱う必要があります。 交流回路の電力の求め方が理解でき、さらに複素電力の数学的取り扱いができればオームの法則で計算ができます。(第2種電気主任技術者試験以上の問題ですので参考書は多数あります) 結論から言うと、 電圧が同じ大きさでも、位相に差が有れば電力は送れます。 送電線は遅れ力率(抵抗とインダクタンス分)ですので、送電側の発電所の位相を進めれば送電ができます。 簡単な例として、単相交流2線式の送電で考えてみます。 題意には発電所ABの位相がかかれていませんので、発電所Aの位相を0(基準)とし、Bの位相差をδとします。 発電所Aの電圧はEAsinωt 発電所Bの電圧はEBsin(ωt+δ) となります 発電所AB間の送電線のインピーダンスの大きさはZAB、題意にはインピーダンスの位相は0とかかれていますが、一般的にはΦとするとZABsinΦとなります。 送電線に流れる電流Iは、AからBの方向に I=(EAsinωt-EBsin(ωt+δ))/ZABsinΦ が流れます。(Iは複素電流) B地区の受電電力(複素電力P+jQ)はB地区の電圧にこの電流を掛けたものになります。 したがって、 有効電力P=(EAEB/ZAB)cos(δ-Φ)-EA・EA/ZABcosΦ になります。(途中計算は省略。電力工学のテキストに載ってます) ここで送電するためにはPを正にすればよく、EA=EBの場合にはcos(δ-Φ)>cosΦ とすればよく、-90度<δ-Φ<+90度 の範囲に送電線のインピーダンスに対応して発電所の位相を変えれば送電ができます。 送電電力を変えるには ・発電所の同期発電機の機械的入力を変え、速度を変える(機械的入力PMと電気的出力PEの差が発電機機械系の回転エネルギーとして軸の慣性モーメントに回転エネルギーとして蓄えられ、速度が増減します。PMとPEの差が僅かであれば、同じ速度ですが位相が僅かに変わります。(δを変えるもっとも一般的) ・送電線に調相設備を設けるとか送電線のルートを変えて等価的にZAB、Φを変える(ステップ的にしか変わらない) などの方法があります。 送電線のルートや構成は負荷の状態で変わりますので、遠回りすればΦも変わります。遮断器の開閉などに応じて常に発電所の位相δは制御されています。 工学的には発電機の能力、送電線の構成には限界があるので、送電できる電力にはδ、Φで制約されてしまいます。 この現象はトロイカ(そり)の説明が理解しやすいとおもいます。トナカイ(複数の発電所)がそり(負荷)を引くとき、引き綱(送電線)は何本も張られ、トナカイはそりの直前にいるわけではないので、綱は斜めにひっぱられることになります。 もしトナカイがそりの前にいて前方のみに引っ張ればそりは進みます。 一頭が遅れて進み、そりよりも後ろに行ってしまうと(前に進んではいるが)他のトナカイに引っ張られます。 2頭のトナカイがそれぞれ左右方向に引っ張ればそりはベクトル合成の方向に進みます。 補足 問題に ΔE=EA-EB 潮流 IAB=ΔE/ZAB とかかれているときにそれぞれのアルファベットの上にドット(・)がついている(ベクトル的な取り扱いをする必要がある)と常に考えるようにすると理解が早まります。 直流の場合はオームの法則で電圧降下、電流が規定されるだけなので、電位差で送電します。 直流送電のメリットはここにあります。 つまり、送電側の交流から直流を作る順変換器の位相制御により、電圧をコントロールし、受電側の逆変換器で直流電圧から所望の位相の交流を作り出せます。 これにより、ABニ地点間の位相差によらずに送電できるので系統が分離できます。したがって、δ、Φの制約によらずに送電可能となります。
- gura_
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#2です >すみません。ここがよくわからないです。 http://www.tl.cc.uec.ac.jp/~takata/Power/PowerSystem.html の「位相の同期と並列運転」 はご覧になりましたか? つまり、単に各地区の電圧と位相が合わせられればよい訳ではなく、それらの変動に対して各発電所が追従できる能力があるかが重要ということです。 例えて言えば、二人三脚で荷車を駆け足で引いているようなもので、二人の歩幅(電圧)と歩速(周波数)とそのリズム(位相)はほぼ等しくなければなりませんが、それよりも重要なことは、それぞれの牽引能力(発電電力)がその変動にそどう対応できるかどうかが重要で、それが保証できなければ、電力輸送が出来るとは言えません。 片方が強健で他方が病弱で、少し坂道に差し掛かったため、病弱の方がそれに耐えられないとすれば、強健な方だけでは荷が重いのですから、この二人三脚は破綻してしまいます。このたとえで理解して頂けませんか? いずれにしても、かなり専門的な分野(電力工学?)の問題となるかと理解します。 ------------------------------------------------- 逆質問ですが、新しい電池(起電圧1.6V)と古い電池(起電圧1.2V)を並列に繋いで1Ωの負荷(元々それぞれ2Ωの負荷を繋いでいた)に電流を流します。このような接続は可能でしょうか。 可能ならそれぞれの電池から流れる電流はいくらでしょうか。 答え: 接続は可能 各電流値は内部インピーダンスが分からないので、答えが出せない。
- iqdeflat
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電圧に差があれば無効電力の分担が変わります。 電圧の高いほうが多く無効電力を分担します。 電圧に差があるとき力率ほぼ0(Z~jX)の 横流がながれ、両機の電圧を等しくするように 増磁と減磁の作用がはたらきます。 有効電力の分担は変わりません。 有効電力の分担を変えるには速度特性を変える 必要があります。
- unos1201
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直流と交流という風に考えるからある意味では誤解が生じます。 直流であっても電圧の変動がわずかにでもあればその電圧の変動は遠く離れた場所でも観測できます。実際にその現象をうまく使うとモールス符号による通信も出来るのです。ただし、この際も、送った波形と、遠く離れた場所での波形は同じ形ではないのです。 仮に、地球を1周してきた、非常に抵抗が小さいケーブルが2本あったとして、その1組の線に電池を1本つなげることを考えましょう。地球を2周した距離分の抵抗線のせいで、ケーブルの反対側では電池の電圧は殆ど0に近いがある程度は観測されます。 この時、単順に電池の線をつけたり離したりのスイッチのオンオフを繰り返すと、周波数が低ければ、0とちょっとの電圧が繰り返し観測され、何となく角ばった波形のイメージが出てきます。完全に0から1になるので無く、だんだん電圧が上がって,安定した電圧が、電池を離したあと、まただんだん電圧が下がって0になるという角が崩れた台形に近い電圧の変化として観測されます。 地球2周で、1000分の1になる抵抗値、1000オームであれば、1.5ボルトは理論上、つないでいる間は1.5ミリボルトは反対側で観測できます。オンオフを1分間に100回も繰り返すとマイナス0.2ミリボルトからプラス1.2ミリボルトくらいのピークを持った波に近い崩れた波形が観測できるようになります。さらに1秒間に100回とか10万回というレベルにするともとの波形は立派にマイナス0.5ミリボルトから0.6ミリボルト程度の間で動く角の取れて変形した台形に近い交流のような波形へと変化します。直流がなぜこのように変わったかは、電圧の変化を打ち消そうと電線の間でコンデンサーの成分とコイルの成分が邪魔をして何時の間にか交流型の波形に変化させてしまったのです。 実際、海底ケーブルを用いたり,長距離で無線でモールスを通信に利用を始めた初期はこんな崩れた波形を利用していました。しかし電圧は抵抗が大きくなると、減少し、当然電球をともすような電流を流すことが出来ません。波形も雑音に混じり、判別できなくなります。 正弦波に近い交流ではトランスで10000倍に昇圧すれば、1ボルトが10000ボルトに出来ます。すると、地球を1周してきても10ボルト程度の観測が出来、10対1の降圧をすれば反対側でも1ボルトを得ることができます。実際はもう少しコイル成分とコンデンサーの成分が邪魔をするので波形も若干変わりますが、トランスと送電の効率が80%位は確保できてしまうかも知れません。ロスは電波になったり熱になった分です。トランスも変換効率はかなり高いですが、もちろんロスがあります。 直流と,交流は互いに変換できますが、交流を直流に整流するには大きな損失を伴うのと、直流を交流にするにもロスが大きいです。電池を交流に変換装置を使って、その後トランスで昇圧し、送られたあと降圧すれば交流の送電の恩恵は得られます。大学で実験物理学を講義するみたいになって、数式無しで説明しましたが、交流も単相でなく3相の方が無駄が無く等という説明や高い電圧で送れば電流が少なくて熱損失が少なく、ケーブルも小さく済むことなどを総合的に考えることが出来れば、交流の性格がわかってきます。さらに、正弦波の交流で、位相が同じで周波数が同じにしないと、ずれが長い距離の間や波の間で合成され、損失が大きくなるなども理解できるようになると思います。これ以上はやさしくイメージできるような説明のできないレベルなので、高等数学と電波や電気の専門書を読むことで理解してもらうことになります。NO2の方の紹介のHPを見ると何故位相が、周波数がという疑問はある程度とけると思います。
- mmky
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これは、わかりやすく言うと、懐中電灯の電池2個をそれぞれ逆につなぐと、電球がつかないということで良いんでしょうか? そうですね。 ○電池、◎電球 で電池を以下のように接続すると 電池の電位が同じなら電球は点灯しないですね。 |-○+○+--◎--+○+○-| -------------------------アース >交流の場合は、位相が同じであれば直流と同じく電力は伝送されません。しかし位相が異なると電力の授受が起こります。 位相が同じだとどうして電流が流れないのでしょうか? 交流というのはたとえれば歯車ですね。歯車は山と山同士であれば歯車になりませんね。しかし山と谷、山と谷だとかみ合って回りますね。 交流の位相というのは歯車の山と谷のあわせ具合なんですね。同じ電圧の交流で周波数と位相が合うというのは山と谷が一緒なんですね。だから山同士は同じ電圧なので直流と同じように電流は流れない。谷と谷も電圧は低いけど同じなので電流は流れないということなんです。山と谷が双方でずれると山、谷というように電圧の違いが生じて電流が流れるんですね。周波数と位相を合わせるというのはたとえば発電機の回し方を微妙に変えるということですからむしろ難しいことですね。ということなんです。
お礼
mmkyさん、大変わかりやすい回答どうもありがとうございます。 歯車のかみ合わせですか。 これは本当にわかりやすいですね。イメージしやすいです。 ありがとうございました! たすかりました。
- mmky
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回答は出ていますが参考程度に A地区とB地区(各々、発電所です)の電圧が同じ大きさだったとします。 この場合、電力は輸送できるものなのでしょうか? おそらく(勝手な予想ですが)、直流ではなく、交流なら大丈夫だと思うのですが…。 予想通りですね。何千キロでも送電線の抵抗がゼロの場合を考えて見たらいいんですね。直流の場合だと電圧が等しいと電流は流れませんね。だから電力は伝送されません。交流の場合は、位相が同じであれば直流と同じく電力は伝送されません。しかし位相が異なると電力の授受が起こります。交流は例えばe=Esinωt で表されるから、両方の発電所が同じeであれば流れませんが、一方がe2=Esin(ωt+θ) や周波数が異なるe2=Esinω2tとピーク値が常に一致しないので電力の伝送が相互に起こるということなんですね。交流の場合は電力の授受を止めるほうが難しいんじゃないかな。
お礼
回答ありがとうございます。 >直流の場合だと電圧が等しいと電流は流れませんね。 これは、わかりやすく言うと、懐中電灯の電池2個をそれぞれ逆につなぐと、電球がつかないということで良いんでしょうか? >交流の場合は、位相が同じであれば直流と同じく電力は伝送されません。しかし位相が異なると電力の授受が起こります。 位相が同じだとどうして電流が流れないのでしょうか?
- gura_
- ベストアンサー率44% (749/1683)
ご質問の、交流の電力輸送は結局全体の系が、発電機の並列運転に、負荷が接続された形になります。 輸送できるか否かより、並列運転したとき、その系がどのようになるかが重要になります。 直流の場合は、各電源の内部インピーダンスが電圧のずれの調整役を果たし、それぞれの電源の負荷分担が行われます。 交流の場合は、それぞれの周波数が同期される必要があり、結果として、発電容量の多い発電機の周波数に引きずられる形になろうかと思います。 蛇足ですが、商用電源周波数が、時計の基準に出来るほど精度が高いのは、このような理由のため高精度で管理されているからです。 また、送電線の(線路?)インピーダンスはこの質問の場合、重要パラメータではありません。 さらに詳しくは、次のページ等、専門の情報を参考にして下さい http://www.tl.cc.uec.ac.jp/~takata/Power/PowerSystem.html
お礼
回答ありがとうございます。 >直流の場合は、各電源の内部インピーダンスが電圧のずれの調整役を果たし、それぞれの電源の負荷分担が行われます。 >交流の場合は、それぞれの周波数が同期される必要があり、結果として、発電容量の多い発電機の周波数に引きずられる形になろうかと思います。 すみません。ここがよくわからないです。
- unos1201
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電圧の変換が容易な交流ではトランスの設定で簡単にどちらから他方へ送電可能です。2系統あると、AからBへと同時に位相のずれた交流や周波数の異なった交流をBからAへも送れます。 トランスを設定ずらせば簡単に昇圧したり、降圧できるのはお分かりと思います。1:0.9から1:1.1の範囲だけでも11万ボルトであれば1万ボルトも差が生じます。また、最終的な周波数の変換や位相差を合わせれば合成した総合電力を別の地区へ送電可能です。 直流で、このような高効率の送電は変換効率が悪いのと磁界を打ち消す3相交流みたいには実現しにくいでしょう。 理由はお考えの通りです。
お礼
回答ありがとうございます。 >理由はお考えの通りです。 すみません、よく分からないんですけども…。
お礼
unos1201さん、こんばんは。 再回答、大変感謝いたします。 大変詳しく、また、丁寧にありがとうございました! やはり、例を挙げていただくとわかりやすいですね。 本当にありがとうございました。助かりました。