楽しいご質問ですね。
怜悧なキツネに対して、タヌキはどこか間が抜けていてユーモラス。
思い出したのは小説が二点のみです。すでにお読みのものかもしれません。
また、ご主旨をとり違えているかもしれません。
・井上ひさし『腹鼓記』
発端は阿波徳島から。ところが話はどんどん過激化していって、タヌキ王国・四国の島へキツネ族が化かしあいの殴りこみを仕掛け、ついに屋島合戦に至るという、いかにも井上氏らしい長編小説。奇想天外、抱腹絶倒、しかも独特の苦味もきかせてあります。未読でしたら是非ご一読おすすめします。(新潮文庫など)
・正宗白鳥『狸の腹鼓』
白鳥といえば日本自然主義文学を代表する作家の一人ですが、こんな短編小説も書いています。
飢饉に見舞われた人間どもがタヌキも捕って食おうとするのへ、擬人化されたタヌキ族が団結して徹底抗戦、手練手管で化かしてやろうとします。しかしどうやら人間の貪欲の前では旗色が悪そう。現代の世相でいえばグローバル化経済との闘いとも読み替えが効きそうなファルス(狂言・滑稽劇)です。
入手しやすいものとしては『戦後短篇小説再発見15 笑いの源泉』(講談社文芸文庫)にこの一編が入っています。
また、この短編集は編集の高水準が示されたものと思います。小説がお好きでしたら、タヌキとは別ながら、いずれもご一読になって損はないレベルと思います。
以上、勝手なご託を並べました。参考にしていただけたらと思います。