いずれもいわゆる破壊靭性(例えば応力-変位曲線に囲まれた部分の面積)が一般的なコンクリートに比べて極めて大きい材料ですが、少しニュアンスが違っています。
HPFRCCはHigh Performance Fiber Reinforced Cement Compositesの略で、ECCと呼ばれるものを包含します。これは上述の応力-変位曲線が主に変位方向に増大するタイプで、極めて大きな終局破壊歪みを示すものです。ECCは、例えば純引張破壊において、複数の微細ひび割れを発生しながら、終局歪みとして~2%、あるいはそれ以上の性能を示すものですが、SIFOCN、SIMCONやDUCTALは必ずしもそういった挙動を示すものではありません。よって、HPFRCC>ECCですが、他は必ずしも包含関係ではありません。
土木学会発刊のコンクリートライブラリー127「複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材設計・施工指針(案)」を参照ください。
ちなみにDUCTALはUFC(超高強度繊維補強コンクリート:Ultra High Strength Fiber Reinforced Concretesの略)と呼ばれるものに包含されます。DUCTALは商品名であり、他社から同様のコンセプトでの材料が提案されています。これらは、HPFRCCと呼ばれるものに対比しますと、応力-変位曲線が主に応力方向に増大するタイプ(むろん終局破壊までの変位も少しは増大します)です。
こちらも土木学会から超高強度繊維補強コンクリートの設計・施工指針案が発刊されていますので、詳細はそちらの参照ください。