「浮かんでくる曲」というのはどの程度でしょう? 断片的なフレーズ(メロデイの一部、ギターやベースのリフなど)なのか、ある程度の曲の全体像(メロディ全体、もしくは基本的なコード進行全体)なのか……
断片的なフレーズであれば、バンド・メンバーの前で歌って聴かせて、適切なパートにひたすら繰り替えして貰い、それに基づいてセッションしてもらって発展させる、という方法がありえます。ただ、セッションが楽しくなってくると、セッション自体が目的とすり変わってしまい、曲を仕上げることを忘れてしまいます。セッションの様子を録音しておき、後から聞き返して採譜するのも手ですが、最初に思い浮かんだフレーズと比較して、セッションの内容ははるかに複雑ですから、むしろあとあとかえって面倒になるかもしれません。また、セッションの展開の仕方によっては、作曲者の「イメージとは違う」方向に展開して、そのような好ましくない方向をバンド・メンバーは気に入ってしまう、ということも起こり得ます。さらに、質問者さんが「楽器は全くできない」ヴォーカルの方なのだとすれば、セッションのあいだ、端的に退屈するかもしれません。あるいは、そもそもジャズ系の音楽などやったことがないなどの理由で、セッションで、アドリブで思いついたプレイをするってこと自体ができなければ、この方法は使えません。
ある程度全体像を思いついているなら、仕上げてからバンドに持っていった方が、上で述べたような厄介を起こさずに済みますが、プロ並に初見演奏が出きるならともかく、そこまでのレベルに達していない場合、仮に質問者さんが楽理や譜面の知識に長けて、完璧な譜面を用意できたとしても、逆にバンド・メンバーがそれを見てもプレイできない、と言うことになるかもしれません。
となると、譜面エディタやDAWソフトで音源を作って、メンバー各自に耳コピーしてもらった方が、カバーなりコピー主体のバンド活動の延長で取り組めることになるかと思いますが、上の話から整理すると、
・断片の間は封印、仕上げてからバンド・メンバーに渡す
・譜面エディタやDAWの操作方法を覚える
といった、それなりの難関を通ることになりそうです。
他の方が答えているICレコーダーの利用は極めて有効ですが、カウントやクリックに相当する音も合わせて録音しておかないと、鼻歌のようなシングル・ノートのラインは、聞き返した時に拍頭がどこだか分からず、自分でも理解できないってことが起こります。
取り合えず楽器を覚えるのも非常に有効ですが、楽器の習得もそれなりに大変で、作曲するという目的を見失うというリスクもあります。もちろん、ある程度楽器ができるようになるまで作曲はお預けで構わなければ、これはかなり現実的な選択肢です。ただし、楽器を買うお金がかかります。すると、楽器の選択(種類、価格帯)などなど、派生して問題が出てきます。
個人的に取り合えずおすすめしたいのは、ICレコーダーに録音したものを譜面エディタで再現することです。フィナーレ系の無料版(参考URL参照)なら、オタマジャクシをマウスで五線紙に書いていけば音を鳴らしてくれますので、取り合えず確実に記録できます。なんとかメロディで全体を作りきれたら(ICレコーダーなどに録音できたら)、それを譜面エディタで再現します。プレイバックを確認してイメージどおりになるまでは、書き方(楽典と照らして正しいかどうか)は取り合えず無視して良いでしょう。一通り音符を書き込むことができたら、変化記号をシャープだけ、もしくはフラットだけに統一して書き直します。
この頃から、遠回りに思えても「譜面の読み方」系の本を時間を見つけて読んで、調号の統一を進める際に随時参照すると、譜面に関する基本的なことは経験を通じて覚えられるようになるかと思います。変化記号の付き方に規則が見られれば、調号も判定できるでしょうから、今度は調号を添えて譜面を書き直します。
この段階になったら、譜面を印刷してバンドに持っていきます。調号が定まれば、平行調の割出もできますから、ギターさんなら恐らく適当なコードを使ったバッキングを思いつけるんじゃないかと思います。そこが定まれば、コードのルートからベースもある程度定まります。ただ、もしバンド・メンバーが「五線譜は読めない」「コード・ネームがないと分からない」などと言い出したら、譜面は一旦引っ込めて、自分なりにコードを与える必要が出てくるかもしれません。こうなると、「譜面の読み方」系の本の範囲を越えますので、楽理に手を出すことになるかと思われます(日本では、楽器ごとにこの手の本が出ているので、楽器ができないことを前提に適当な本を見つけるのはなかなか大変だと思います)。
もし、これでもバンドにもっていったらイメージとは違う曲に仕上がりそうだ、ということになると、DAWに手を出すしかないかもしれません(当然お金がかかりますが、DTM入門的な本なら、楽理と併せて説明している本もあります)。
なかなか先は長いと思いますが、頑張ってください。
お礼
くわしくありがとうございました。