プロの事務所に「作曲」を依頼すると、できてくる譜面は、メロディーとコードネームだけが書かれたものです。
本来は「作曲」といえば、メロディーを作ることですが、最近はコード進行を付けるところまでが「作曲」の範囲です。
ベースラインを書いたり、ドラムやハモリを付けたりすることは「編曲」ということになり、プロに頼むと別料金となります。
「作曲」というのは、定義的にいうと「メロディー」を作ることなのですが、作曲した人が、ついでにコードを付けたり、「これは譲れない!」というべースラインを書いたり、「この曲のリズムはこうあるべきだ!」という意味でドラムパートを書いたりします。
これは、編曲の一部にかかわったということですが、作曲者自らが作曲のついでに表現の一部として書いたものは、「作曲の一部」とみなされます。
クラシックの作曲家は、ベートーベンにしても、バッハにしても、「編曲」までも完全に自分で済ませて譜面にして、「作曲」として発表しています。
ベートーベン作曲、ベートーベン編曲 交響曲第五番「運命」とは言いません。
ベートーベン作曲 交響曲第五番「運命」ですね。でも実際はスゴイ編曲までも含んだ仕事になっています。
編曲家という職業が出てきたのは、ずいぶん最近のことです。大昔でも、そのときのメンバーや楽器編成に合わせて、編曲はなされていましたが、たいていは作曲家が片手間にやっていました。
「作曲」というのは、作曲した人が、自分の表現したいものを伝えたい範囲を書くのであり、「このベースラインが、絶対必要!」「リズムはこうでないとダメ」と思ったら、そこまでは書かざるを得ないです。書かなければ編曲家が好きなように書きます。その結果イメージと違ったサウンドになる可能性もあります。編曲家は、作曲家が書いていないところを書き足して編曲作品に仕上げ、スタジオミュージシャンなどの演奏家に回します。
作曲/○○となっている場合は、どこまでが○○さんのワークかは、外部の人にはわかりません。ただ「○○さんがメロディーラインを作ったことは間違いがない!」ということがわかるだけです。
作曲は音楽的な理論を知らなくても感性がよければできますが、編曲は音楽的な理論を熟知し、各楽器の特性・特徴・音域などを知っていないとできません。
といえば編曲家の方が難しく偉大な仕事のように感じますが、しょせん職人仕事みたいなところがあって、メロディーライン一本のみでも、すばらしい感性を持った作曲家にはかないません。