- ベストアンサー
「残酷な神が支配する」について
萩尾望都「残酷な神が支配する」を友人にかしたのですが、彼女から「何故ジェルミを男にしたのか?男である必要性は何か?何故女では駄目だったのか?」という質問をされました。 その質問に私は上手く答えられませんでした…。なんとなくですがこの作品は女では成り立たなかったのでは…とは思うのですが、言葉にして伝えることができません。 そこで他の方の意見を聞きたいと思い質問しました。 この作品を読んだ方がいましたら、 何故、女では駄目だったのか? 男である必要性は何か? の2点について、憶測でもよいので意見を聞かせてくれると嬉しいです。 よろしくお願い致します。
- みんなの回答 (3)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
ジェルミがなぜ男だったかについては連載終了後に萩尾先生が対談かインタビューかで 「ジェルミを女にしてしまうとジェルミと養父グレッグと実の母親サンドラとの関係が男1人女2人の三角関係になってしまい作品の意図とは違う方向になってしまうため。母親と娘がライバルになる状況を避けるためにジェルミは男になった。」(うろ覚えです。すいません) という内容で答えていたように記憶しています。 確かにジェルミが女性だとあの親子関係の異常性(ジェルミ・グレッグ間ではなくジェルミ・サンドラ間)はここまで描けなかったのではないでしょうか。 個人的にはこの作品は性的虐待や児童虐待を描くのが主ではなく、「他人に責任を押しつけるのが意識的・無意識的であれ得意な人との和解ができるのか」という趣旨で読んでいました。
その他の回答 (2)
- ito_613
- ベストアンサー率34% (76/221)
ジェルミが男である必要性はあんまりないんじゃないかな、と私も思いました。 でも逆に、男でなく女だった方が良かったのか、と言われるとそれも違うような気がします。 主人公のジェルミを男に設定した直接的な理由は萩尾望都が現在のBLのはしりである漫画家であるとか、だから男の方が描きやすいとか、そういうことなのかもしれません。 ただ個人的には、ジェルミは〈少年〉であって〈男〉や〈女〉になる前の象徴的な存在なのだと思います。子供、なのだと思っています。 「残酷な神が支配する」は親と子の物語ですよね。 ここでの親と子の関係では、子の性別はあまり関係ないのだと思います。逆に〈男〉や〈女〉であったら、関係性が変わってきてしまうのではないでしょうか。〈男〉であることや〈女〉であることは大人の持つ要素ですから、子供には不釣り合いなのだと。 なのでジェルミは本質的に男でも女でもどちらでもいいのだと思いますが、女の子の設定にしてしまうと現在の物語とは違った形にせざるを得なかったと思います。 元のストーリーでさえかなり重たいのに、女の子だともっとドロドロした救いようのない物語になってしまっていたような気がします……。 女の子だったらおそらく虐待による妊娠の問題も出てくることになるでしょうし、母のサンドラとの関係も大きく変わっていたのではないでしょうか。母と息子か母と娘では、わだかまりや溝の深さもだいぶ違うものになりそうですよね。 子供を産むこと、親になること、という問題は(名前を忘れてしまったのですが、双子の兄弟の子供を産んだ女の子)のエピソードのあたりを思い出すのですが、おそらく虐待による妊娠や中絶という中では語りたくなかったのではないかと個人的には感じます。 ジェルミが女だったとしたらジェルミ自身が母になる可能性も出てくるわけで、そうなると物語の方向性もだいぶ違ったものになっていたのではないでしょうか。あのストーリーでのジェルミの彷徨や成長を見ると、ジェルミは最後まで〈少年〉であって、母になることはなかったのだと感じます。男なので当然ですが、たとえ女だったとしても母にはならなかったかなぁ、と……。この物語で、【母】という存在は父以上に象徴的なものであると思うので。 また、イアンとの関係もジェルミが女の子だと相当違ったものになるはずですよね。もっと恋愛色の強いものになっていたのではないでしょうか。恋愛は〈男〉と〈女〉のものですから、本質的にどちらの性でもない〈子供〉には不釣り合いなのかなと思います。グレッグからの虐待も、やはり親(大人)から子への虐待というよりも男女間の……というのが目立ってしまったかもしれません。作者が描きたかったのは男女間のドロドロの愛憎劇ではなかったはずです。 なのでジェルミが男である理由を付けるとしたら、〈少年=子供〉であって別に男である必要はないのだけど、女だとイロイロ問題が出てきて描きたい物語から逸れてしまうので、女ではない性=男にした、ということではないかなぁと思います。 性的虐待というテーマからすると、たしかに女の方が普通で分かりやすいのだと思いますけどね。でも作者が描きたかったのはそれだけじゃなかった、ということではないでしょうか。 個人的な憶測を長々と失礼しました。
お礼
ありがとうございます。 とても納得のゆくもので、私の考えていたことを総て代弁してもらった感じです。これで友人にも説明できそうです^^
- itsuki21
- ベストアンサー率48% (62/128)
私もうろ覚えですが、雑誌かなにかで「最初の構想は女性だった」という話は聞いたことがあります。 いろいろ試行錯誤して男性のジェルミに至ったそうです。 なぜか変えたのか、という理由もその際、あった気がしますが、申し訳ございませんが覚えておりません。 あの話は一言でいえば性的虐待の話です。でも一言でいうにはいろいろな人の感情等があります。 全巻読んで思うに、ジェルミが男だからこそ、この話ができたと思います。 はっきり言って、女性ではなく同姓の男性だからあそこまでジェルミの複雑な葛藤があったのだし、同じような立場の双子の片割れ(がいましたよね?)と心が通じ合ったりとかありますし・・・。 題材が生々しいのに対し、読む限り目を当てたくなるような作品ではないというか・・・。その辺の作用もあるんじゃないでしょうか? 逆に問いたいです。この作品で「なぜジェルミを女性として作品ができあがったと思うのか?」と。 まあ、いろいろありましたが、特に女性である必要もないと感じました。
お礼
ありがとうございます。 最初の構成が女性だったとは驚きました。
お礼
ありがとうございます。 本人からも説明があったのですね。