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発電におけるエネルギー収支比について
新エネルギー発電(再生エネルギー)の場合、エネルギー収支比が高いということはどういうことですか? エネルギー収支比が高い=環境にやさしい発電だといえますか?
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こんにちは。 おそらく、再生可能エネルギーの実用性を否定される方々の主張をお聞きになったのですね。 でもその主張は、世界で再生可能エネルギーがたくさん使われ始めていて、これからもっとたくさん使われる予定である事実と矛盾しています。まず、これを念頭においてください。 そこでエネルギー収支比ですが、これは一口で言うと「どれだけ簡単に電力(熱)が得られるか」という、性能を表す指標のひとつです。 たとえば発電所で言いますと、ある発電所で発電したのと同じだけの電力を得るのに、一般的な発電所(火力発電など)ならばどれだけの燃料が要ったはずか(その発電所が発電することで、どれだけの燃料を節約できたか)、という指標です。詳しくは、下記に定義がありますのでご参照ください。 http://unit.aist.go.jp/rcpv/ci/about_pv/supplement/EPTdefinition.html 再生可能エネルギーの場合、このエネルギー収支比が「1」を超えていれば、化石燃料の使用を節約することができます。ですのでエネルギー収支比が高ければ、環境性能もそれなりに高いことが期待できます。 でも、この指標は「エネルギー源(もしくは発電所)としての性能」の目安です。環境に優しいかどうかの判断には、温暖化ガスの排出量や、窒素酸化物や重金属(原油や石炭に含まれます)の排出量などを使われるのが良いと思います。 なお、再生可能エネルギーの性能については国内での検討が不足しているようで、ずいぶん古い見積もりが使われることも多いです。しかし最近は性能が上がって、実用的になっているようです。下記に比較的新しいデータがあります。 http://unit.aist.go.jp/rcpv/ci/about_pv/e_source/RE-energypayback.html バイオマス燃料の一部では、このエネルギー収支比がぎりぎり「1」ぐらいしか無いものもあると聞きます。しかし上記にもある通り、悪くない性能を持つ技術もあるようです。 なお原子力を推す方々の一部に、計算方法を変えて値を低く見せ、再生可能エネルギーを蔑む方々(天野治氏など)がおられます。これは一般的な「エネルギー収支比」とはかなり値が異なります(投入エネルギーと出力エネルギーの比較基準をそろえていないため)ので、ご注意ください。 お役に立てば幸いです。
お礼
ご回答ありがとうございます。 大変分かり易く書いてくださり勉強になりました。 ありがとうございました。