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WTO交渉決裂
WTOの交渉が決裂しましたが、世界経済にどのような影響があるのでしょうか?
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以前からそう簡単にまとまるムードではなかったので、 決裂するのが予想外の大事件とかいうわけでもありません。 ドーハラウンドは2001年の開始以来、 様々な利害の対立、交渉の難航・膠着、反対デモの続発で難しい問題となっています。 成立すれば日本の農業分野への影響は甚大と考えられていましたから、 日本のニュースでこれまで大きく取り上げてこなかったのが意外。 農業の輸入の障壁撤廃も遅れるかもしれませんが、 製造業の輸出の障壁撤廃も遅れるようになります。 アメリカで貿易保護主義的な傾向が強くなっており、 新政権の方針がどうなるかが注目されてもいます。 オバマ候補は懸念されているほど保護主義的ではないという意見もありますが。 発効が数年遅れるくらいなら世界経済への影響は限定的ですが、 WTO統一交渉が形骸化することでその意義自体が低下して、 これから先にもまとまらなくなってしまう懸念があります。 WTOの統一ルールの制定が遅くなる公算が強くなると、 二国間や地域間の自由貿易協定(FTA)の役割が大きくなります。 FTAの成立が相次ぐことでやがて世界の自由貿易化が 進んでいくという楽観的な見通しもあります。 ただ、FTAが締結され、域内だけで貿易・投資障壁が撤廃されると、 域内の国にはプラスですが、域外の国にはマイナスの経済効果が出ます。 このため、連鎖的にFTAの締結が進んでいく可能性がありますが、 地域ブロック化の懸念、貿易の偏りが生じて世界の経済厚生を損なう懸念があったり、 原産地表示など取扱に面倒な問題が生じる危険性も言われています。 二国間のFTAでは交渉が対等の関係になっていないという批判もあります。 日本では、農業分野の輸入障壁撤廃を恐れてきたため、 これまで多くの国とFTAを締結しようと急いではきませんでした。 しかし、米韓FTA・EU韓国FTA、米ASEAN FTA・EU ASEAN FTAといった 主要貿易相手国の間のFTAが多く発効するようになれは、 その分日本企業や日本を通した貿易が不利になってしまうため、 日本でもFTA交渉を加速させるべきという意見が強くなります。 一方、農業国相手の日豪FTAでは農業団体からの反対が強烈になっていますし、 農業系と輸出産業の間で意見の対立が大きくなるかもしれません。
お礼
回答ありがとうございます。日本のマスコミの報道では国内農家への打撃ばかり解説されていて、世界経済全体への影響がいまいちよくわからなかったのですが、これでよくわかりました。 世界経済は地域ブロック化へ漂流してる状況なんですね。