「ぬれ」とか「はじき」を議論する場合SP値よりも表面張力(表面自由エネルギー)のほうが支配的だと思います。
SP値は凝集エネルギー密度の平方根ですから、分子間力の強さを表している訳ですが、表面特有の分子の配向は考慮されていません。
表面張力もSP値も、どちらも分子間力の強さに影響を受けるわけですから、SP値から表面張力を予測する数式が提案されていますが、表面にて分子が配向する場合は当てはまりません。
配向するとはどのような分子かというと、典型的なものは界面活性剤です。単純なエタノールでもそのような効果によりSP値から計算した表面張力と実測値とでは大きく異なってしまうそうです。
「ぬれ」とか「はじき」の専門業者は、製品を表面張力とSP値とを別々にコントロールするそうです。
また、「ぬれ」と「はじき」を考えたときには、単純にSP値が離れているから「はじく」ということではなく、あくまでも自由エネルギーがどのようになるかで決まりますので、油に対しても表面張力の小さな表面の方がはじきます。
水に比べて油は表面張力が小さいので、その油よりもさらに表面張力の小さな表面を作るというのは、難しいと思いますね。
ちなみに表面粗さは理論上、平滑面に比べて接触角がより極端になると言われています。
接触角が90°以下ならば、より小さくなるように、90°以上ならばより大きくなるように働くそうです。
物質の中で最も表面張力の小さな物質は気体なので、気体中に浮かせれば(無重力下で)油といえども球形になるのではないかと思います。
お礼
大変適切な回答、ありがとうございます。 >表面特有の分子の配向は考慮されていません。 そうでした。界面現象について議論しているのに、『表面とバルクは往々にして別物である』という基本的なところをすっかり見落としていました。 >ちなみに表面粗さは理論上、平滑面に比べて接触角がより極端になると言われています。 接触角が90°以下ならば、より小さくなるように、90°以上ならばより大きくなるように働くそうです。 この部分について理論的に説明した文献をご存知でしたら教えて頂けませんか?
補足
>この部分について理論的に説明した文献をご存知でしたら教えて頂けませんか? ご回答がなさそうなのでひとまず締め切らせて頂きます。 いろいろとご教示ありがとうございました。