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瀬戸内海の水質汚染の現状について
瀬戸内海は、宝の海とも言われております。 瀬戸内の工業化とともに、水質の汚染が進んだとはいえ、今なお単位面積あたりの水揚げ高は地中海のそれをはるかに凌ぐともいわれております。 最近は、水質汚染の状況が少しずつ改善されつつあるとはいえ、戦前の水質にはほど遠いと思いますし、瀬戸内海は、コンクリートの原料となる砂利の産地であることから、砂利の大量水揚げによる海底の浸食や深化も生態系に大きな影響を与えていると考えられます。 瀬戸内海の水質汚染や生態系の現状はどうなっているのでしょうか。 また、どうすれば、水質等が改善し、本当の意味での「宝の海」を回復させることができるのでしょうか。
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まずは水質汚染の現状について。 基本として....。 戦前のデータについては、瀬戸内海水質もそうなんですが、他の地域・項目についても、実はよくわかっていない(そのような調査が少ない、今と測定項目が異なる)という側面があります。 ですから、この分野では、現在と観測項目が似通ってきた昭和30年代以降のデータと比較することが多いです。 そのベースに立ってみると、瀬戸内海の水質汚染が「現象(※)」として最も顕著(見やすい形)に現れるのが、赤潮の発生じゃないか....という価値観がありまして、この方面で推移を研究した論文は多く発表されています。 ※:もちろん、現象ですから、原因は存在する 訳ですが、自然環境一般への一時的被害要因 (魚介類を死滅させる直接の現象)としては 赤潮を指標とするのが適切でしょうから。 □ 赤潮については、以下の観測が出来ると思います。 【発生件数の減少】 発生件数は、昭和51年がピークで、それに比較しては減少しつつありますが、これもご質問にある「戦前(もしくは、それに近い時代)」を指標にする、未だ高いレベルにあるでしょう。 【発生場所等】 発生場所は偏っていまして、大阪湾・広島湾(呉)・周防灘・播磨灘辺りで発生しています。(最近では豊後水道での出現も増えてきましたが....) これについては、戦前でもよく似た傾向らしく、原因は「経済活動・生産活動・人の居住に起因する」という事は容易に観測できますね。 【発生原因】 これは「経済活動・生産活動・人の居住」が原因ではありますが、もう少し掘り下げると時代毎に微妙に異なる様子です。 例えば、過去では企業系(例えば製紙等)が中心であったと推定もされるんですが、近年、企業系には相次ぐ法規制が掛けられており、汚染物質の排出総量としては抑えられつつあります。 ところが、現象としての赤潮は、依然として根強く発生を続けていると...(年100件前後ですかね) で、この間の変化を見てみますと、洗剤(合成洗剤+石鹸)の使用量が20倍近くに上っています。 また、漁業は「採取中心」から「養殖の拡大」へと変化しつつありますね。 (むろん、戦前から養殖はありましたが、近年の養殖水揚げ量を見ると、相当の拡大と云えるでしょう。) となると、原因としては「一般家庭および非企業系生産活動」が大きな割合を占めだしていると判断せざるを得ないでしょうね。 【対策】 これは、引き続き企業系に規制を掛ける必要がありますし、全体を見渡して、現状の被害現象発生頻度でも不満足と判断されるなら、さらなる規制が必要でしょう。 ただし、これだけで劇的に状況が緩和されるという期待はできませんで、何より、家庭や漁業への対策が必要となるでしょうね。 しかし、家庭や漁業への規制は、(企業へ対する規制と異なり)規制対象者を法で罰する訳にもいかないために、非常に難しいのが現実ですから、勢い弱い対策ではありますが、意識付け(教育・啓蒙)がメインになってくるでしょう。 □ 汚染物質(指標)としては、種々あります。 上に書いた赤潮は、主に窒素・燐が原因と疑われますが、その他の汚染指標としてCOD(化学的酸素要求量)という物もあります。 この排出先・濃度推移等は赤潮とほぼ似通っていまして、被害としては底質のヘドロという形で出てきますし、副次的には貧酸素域の発生、藻類/貝類への付着による死滅、底質をヘドロが覆うことによる魚類生息域の減少等が出てきます。 そして、こちらも家庭への対策が必要になりますが、同じく「対策が限られる」というジレンマがあります。 で、家庭への対策の方向性。 一つは、洗剤使用量の減少という事になるでしょう。 間違っては行けないと思うのは、決して「合成洗剤から自然石鹸への転換」ではなく、「洗剤総量の削減」であることですね。 合成洗剤も石鹸も、CODという指標に置いての比較では、どちらも同じ程度の悪役ですし、下手に石鹸に切り替えて使用量が増える可能性があるなら(現実的には出つつあるんですが)、瀬戸内海等の閉鎖性水域でのCODは、企業への各種規制による削減量を家庭排出物質が食ってしまって、逆に上昇に転じる可能性も出てきます。 □ 生態系の現状。 これは一口では言い尽くせないですが、例えば、スナメリが(瀬戸内海では)見られなくなった、漁場が変化した、漁獲が減った等々ですが、詳しくは研究結果を見られるのが宜しいでしょう。 ここらを入手出来そうな機関のURLは、下に入れておきます。 □ 蛇足ですが.....。 瀬戸内海の汚染を特徴づけるのは、閉鎖性水域であるという事でしょう。 で、これを他の地域と比較して見る場合(例えば漁獲高の推移による汚染の評価とか、対策の実効性とか)、同じような「密度が高い工業・商業・居住地帯に囲まれた閉鎖性水域」との比較が有効かもしれません。 例えば、欧州との比較ならアドリア海や(ちょっと規模が大きいですが)バルト海とか。 ここらですと、読み物や文献などでも多く紹介されているでしょう。
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瀬戸内、特に播磨灘は海苔の産地としても全国的に有名です。秋が深まる頃には海苔網が沖一面に拡がります。釣り人は釣れなくなったことを海苔の漁場が影響していると言います。海苔にフジツボなどが付かないようにキツイ薬品を漁場に流すのです。実際冬に近場での漁は釣れません。 沖の魚はキツイ薬品の付着した海苔の網を越えて浜辺近くに寄り付かないという訳です。 瀬戸内のはずれの町よりsa
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回答ありがとうございます。 海苔に薬品が使われていたとは知りませんでした。 汚染は結構深いところまで浸透しているのですね。
お礼
詳細な回答ありがとうございました。 大変参考になりました。