> そういう現実を無視した共産主義者独特の、偏見に満ちた全く事実を反映しない偏向思想の持ち主が、現状の日本では珍しくないのです。
あのぉ…。共産主義者にとって資本主義国家は本質的に帝国主義的勢力を繰り返さないと維持できない危険な存在ですから(まあ実際のところ、市場経済というのは常に拡大しないと維持できないですから、理論上そうなるんですが)、それこそ資本主義国家との協調なんてあり得ない、という議論になりますが(爆笑)。まあそれを杓子定規に信じて実際に政治をやると大変なことになりますから、めったにやりませんが。
外交ってのは相手側の立場を理解しないとできるもんじゃありませんよ。そこを見落とすとヴェトナム戦争の泥沼で大損害を出したアメリカみたいなことになります。
冗談はさておき、国どうしで「仲良く」というのは、ANo7さんが基本的なところは説明しておいでですが、ちょっと中学生だとピンと来ないかもしれません。分かり易くいえば、
1)共通する利害においては協力する。
2)対立する利害においては双方がそこそこに納得できるところで妥協する
3)無駄な感情的対立は回避する
この三つが維持できている関係です。で、日本と中国は、すでに説明しましたけど経済関係でまず1)の部分がものすごく大きいのに、どうも共通の利害を持っていることを双方が理解していないで対立する傾向があります。
1) たとえば今問題の農薬ギョーザですが、真相を解明して今後の安全を期すことは日本にとっては国民の健康維持のために重要ですし、中国にとっては自国の製品の安全性と信頼の問題ですから、ちゃんと協力しなければいけないのですが、主に中国側の官僚制(要するにお役人根性ってやつです)の問題で止まってます。これは政治がもっと指導力を発揮しなければいけない問題でもあり、主席来日中にもう少し話題に取り上げておいた方が長期的には中国にとっても利益だったんですけどね。というか、来日の前に解決の目処をつけておくべきことですが。まあお役人のなかにはA.N08みたいなあまり賢くない人もいますから、無駄な疑心暗鬼でエネルギーと時間を浪費して、すぐに合意できることでうだうだと問題を生み出してしまうわけです。
一方で中国の環境問題はとても大きな問題で、まず中国がいずれ巨大な被害をこうむりますし、日本もすぐそばでやはり影響は無視できません。それどころかあんな大きな国ですから全世界的に影響が出ますし、日本は高度成長時代(だいたい1950年代から70年代)にすさまじい公害病が頻発した歴史もあって、経験と技術のノウハウは相当にあります。「日本の技術をタダでくれてやるのか」と感情的になってる日本人もいますが、そんなこと言ってうだうだやってると日本もいずれひどい影響を受けますから、協力する代わりに現実に必要なことは厳しいことも言えるようにするべきです。で、協力をすると言って日本の高い技術と知識をありがたみを持たせて売り込んだ方が、中国側だってより素直に言うことを聞きます。あったりまえの話。
2)の対立する利害ですが、代表的なところに東シナ海のガス田開発問題があります。これは日本と中国の双方が主張する「排他的経済水域」(難しい言葉ですみません。説明すると大変なので、先生にぜひ質問して下さい)の対立もあって、なかなか面倒です。この問題で日本が主張しているのはちょっとあまりにもまっとうすぎて、国際司法裁判所に持ち込めば日本が勝つ可能性が高いようですが、裁判ならそれでいいんですけど、外交交渉の鉄則はあたかもお互いにそんなに損をしなかったかのような体裁を整えることですから、これはちょっと問題。実際に目指しているよりも少し無理な要求をしておいて、じゃあおたくのために妥協しますからそちらも少しは妥協して下さいよ、という関係で落としどころを見つけるという智慧はけっこう役に立ちます--が日本の外交はこういったところがとても下手なので、中国となかなか波長が合いません。中国としても「お互いに妥協した」という格好がつかないとサマにならないので。
3) これが実はいちばん大きな問題でして、根が深いところもあるのですが、1)と2)をうまくこなしていれば、普通なら問題になることはありません。あとパンダもあるし(笑)。過去に起ったことを変えようったって変わりませんし、とくに日本側としては負けた戦争についてうだうだ言うのは相当にバカバカしいことでして、とくにネット上で読むことを鵜呑みにしていると大変なことに思えて来ますけれど、根本的にはくだらない次元の話なので、もっと大人になってから興味本位で調べてみる程度をお薦めしておきます。A,No7さんがすでに指摘してますけど、「きっとこういうことを書く人は、国同士どころか、自分自身が周囲の人とうまくやれない、協調性のない」らしい人が、暴走してるだけですから。ただネット上で匿名でやってるだけならいいんですが、政治家のなかにそういうことを言う人がいると、1)ととくに2)の交渉ごとで無駄に日本に不利な状況を作ってしまうことになるので、これは国民にとって非常に迷惑だということだけは言っておきましょう。
あとそういう実質的な利益とかを超えたところで、お隣の国の人間どうしが仲良くしてお互いのことを知っておくのは、1) 2) 3)すべての問題で要らん誤解を防ぐ上でも役に立ちますし、それ以前にまず単純に楽しかったりおもしろかったりするので、素直に楽しんでいればいいでしょう。「中華料理」ってのはもう書きましたし、中華料理がなくなったら人生かなり退屈になりそうですが(笑)、中国旅行というのはいちばんお手軽な海外旅行のひとつですし、かなりおもしろい国です。そんなにお金もかかりませんから、一度行ってみて下さい。
ただ「仲良し」「仲が悪い」に関係なく、今問題になっているチベットのことだとか、明らかに不正義だと思えることはきちっと言った方が精神衛生上いいです(といっても、ただ「そういうことが行われているのは気持ちが悪いから」という素直な感情でならのことで、3)みたいな「中国が嫌い」が動機になってはかえって精神衛生上悪いですけどね)。もちろん相手国のこと以上に、自分の国のことも。これもたぶん、普通の人間関係、たとえば友達との関係とあまり変わらないですよね。
ただ残念ながら、どこの国にも「自分の国は常に正しい」という異様な思い込みに囚われている人はいますし、とくに国のなかでそれなりの地位を持ってる人に多かったりします。あるいはさっきいった「役人根性」かもしれませんが、一時期中国に行くビザをもらえなくなったことも、僕なんかはありますが。チベット問題でちょっと発言し過ぎたんでしょうかね。まあ後悔はしてませんが。
お礼
とても分かりやすい説明、ありがとうございます。 頭の中がだんだん整理されてきました。 これからまとめていこうと思います!