酸とは電子を受け取ることができる化合物ですので,分子内の電子密度の高い所に配位します(付加では意味が違ってきます)。ただし,分子内のどこか一ヶ所に配位するのではなく,その程度は異なりますが,全ての所に配位します。つまり,ある分子ではヒドロキシル基に配位し,ある分子ではカルボニル基に配位すると言う事です。
しかし,そうは言っても,その分子の割合は大きく異なっています。当然,分子内の電子密度の高い所に配位したものの割合が大きくなり,実際上はどこか一ヶ所に配位している様に見えるわけです。
では,ヒドロキシル基とカルボニル基のどちらが電子密度が高いかですが,ヒドロキシル基の酸素原子はインダクション効果(I効果)によってδ-になっています。
それに対して,カルボニル基の酸素原子はインダクション効果(I効果)とレゾナンス効果(R効果)の両方によってδ-になっています。
その結果,カルボニル基の酸素原子の方がよりδ-(電子密度が高い)となりますので,ほとんどの分子で 酸触媒はカルボニル基に配位しています。
お礼
ありがとうございました。納得しました。