坊さんです。
年回法要(年忌法要)は、命日を縁として行うもので、本来は祥月命日(命日の月日そのものの日中法要と前日の逮夜法要)に行うもので、昔はそうでしたし田舎の方では今でもそのように習慣を守っているところもあります。
戦後の近代化と産業構造の変化で、会社員が増加したため土日が休みという方が多くなり、また親族の法事でさえも平日会社を休まない方も多くなり、命日の前後の土日や命日の1ヶ月前からの土日に繰上げ等を行って法要を行うことが多くなったのが戦後の高度成長以後のごく近年の習慣です。
結果、都市部では法事が土日に集中し、地元の寺院では不可能な地域も増えています。
宗教上は、ずらすのなら前でも後でも同じことで、前は良いが後はダメということはありません。
しいて、「命日の前なら良い」と言う風潮は、「忘れていて慌てて遅れて行った」と周りの親族等の者に勘違いされないために、「ずらすなら後より前の方が良い」という社会風潮から起こっていることと推測でき、前もって親族に寺院等の都合で命日後の○月○日(日)に行いますというご案内等を出されるのでしたら、そのような誤解も受けませんので、特に仏教的にも後でもかまわないのです。
さらに、別の理由としては年回法要(年忌法要)を3日間、6日間、9日間とか数日間にかけて行うような場合最終日が命日当日の日中法要になるので、前の日からやるが後の日には行なわないという習慣も影響しているかもしれません。
「前は良いが後はダメ」と言うような○か×かという区分けではなく、どちらも△なのですが「後よりは前の方が誤解を受けない分マシ」というニュアンスのご理解の方が良いと思います。
お礼
詳しい説明ありがとうございました。 やはり執り行う側の気持ちですね。