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Malayo-Polynesian語族について教えてください。
Malayo-Polynesian語族はマダガスカルからトンガにわたって存在しているということを、つい最近知りました。 この語族に関することを教えてください。 (少し前にフィリピンにいました。フィリピンのメジャーな方言の 一つタガログもこの語族に属していると知り、興味を 持ちました。)
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世界の言語というか、言語一般について関心があるので、以前から調べようとは思っていたのですが、いまの時点では、一般論も詳細も分かりません。 ただ、大きな規模での展望だと、東アジア及び太平洋地域の言語を眺めると、中国大陸を仮に中心に考えると、その西北領域の広大なユーラシア大陸部には、アルタイ語族の言語が多数分布し、中国大陸から見て、東南領域の主に海洋部には、アウストロネシア語族の言語が分布し、この二つの領域にはさまれた、中国大陸部分とその近辺に、シナ・ティベット語族の言語が分布しているという分布図が得られます。 シナ・ティベット語族の領域の中国大陸とアウストロネシア語族の海洋部の中間というか境目に、アウストロアジア語族の言語が分布していますが、これらの言語は、多く漢字文化圏に入り、中国語の影響を大きく受けています(ヴェトナム語とかクメール語が、アウストロアジア語です。タイ語とかビルマ語は、シナ・ティベット語です。東南アジアでは、マレー、フィリピン、台湾の先住民語などが、アウストロネシア語ですから、モザイクのようになっています)。 アウストロネシア語族は、南島語族とも、マレー・ポリネシア語族とも呼びますが、後者の呼び方は、この語族は、大きく、マレー語を中心とするインドネシア語派と、オセアニア(ポリネシア)諸語を軸とするポリネシア語派に分かれるからで、No.2 の方の回答のなかの参考URLの一つに、「原アウストロネシア語族」の発展展開の歴史がありますが、オセアニアの多島海領域の島々に広がって行った言語が特殊化して、ポリネシア語派を構成したのだともいえます。 アウストロネシア語族は、「孤立語」で、単語が、ひとつひとつばらばらになっていて、文章意味は、文要素の「語順」によって決まります。代表的なこの語族の言語であるインドネシア語は、「主語+目的語+述語」の語順になっており、これは英語などと同様ですが、アウストロネシア語族の言語がすべて、こういう語順を持つのではありません。 また形容詞の修飾位置も、インドネシア語では、名詞+形容詞で、これはラテン語やフランス語、つまりロマンス語の修飾位置と同じですが、この特徴も、アウストロネシア語族一般の特徴とは限りません。 「孤立語」であるので、接頭語、接尾語、そして接中語による造語パターンが多数あり、これによって、単語の形が、時代とともに、相対的に速く変化して行くという特徴があります。(孤立語の代表である中国語は、単語が基本的に単音節ですが、アウストロネシア語族は、そういう制約はありません)。 発音については、母音の数が少なく単純であり、5母音から7,8母音が基本になります。また、子音+子音の子音連続を含まないのが基本的な形だと思えます。アクセントは、文章レベルではありますが、単語の識別指標としてのアクセントは、基本的にはありません。 つまり、この発音の特徴が、日本語と似ているのです。日本語は現在は5母音ですが、上代は、7母音(甲種、乙種の区別)であったことが知られており、また子音連続がないというのも、日本語を単語のレベルで見ると、発音構造などは、アウストロネシア語族と同じあるいはほぼ同じであると考えられるのです。(例えば、ジャワ語は7母音、インドネシア語は6母音、フィリピノ語は5母音です。マダガスカルのマラガシ語は4母音です)。 しかし、共通単語語根は、確認例があるとはいえ、多くなく、その理由として、日本語とアウストロネシア語族の関係を主張する学者は、この語族の言語が、孤立的な島々に分布し、独特な文化があって、単語の形が変化し易い結果、現在あるいは上代語彙で比較しても、似ているものがなくなっているのだ、と主張します。 アウストロネシア語族のなかで、使用人口等の点で代表的なのは、7000万人ほどの使用人口のジャワ語、インドネシア、マレーシアなどで使われている、ムラユ語(マレー語)、フィリピンで使われている、一種の人工語ともいえるピリピノ語などです。 太平洋域の島々で使われている、例えば、ハワイ語とか、サモア語、フィジー語などがありますが、使用人口が少なく、ポリネシア諸語全体をあわせても、100万人程度しかいません。 インドネシア語とマレーシア語は、別の言語になっていますが、実質は、ムラユ語(マレー語)のインドネシア方言、マレーシア方言というような位置付けです。インドネシアの公用語はインドネシア語(マレー語)ですが、この領域で、使用人口のもっとも多い言語は、実は使用人口7000万人を超えるジャワ語です。しかしジャワ語は、敬語法が非常に発達していて難しく、この点、日本語とよく似ていて、これを除くと、語彙はそんなに複雑でないのですが、公用語から外されたという経緯があるようです。 フィリピンのピリピノ語は複雑な位置付けで、現在、公用語は「フィリピノ語」になっています。しかし、フィリピノ語は、まだ一般に普及しておらず、もっとも普及しているのがピリピノ語で、ピリピノ語とは何かというと、フィリッピン独立において、もっとも有力な勢力であったルソン島中央部のタガログ族の言語であるタガログ語を基礎に、一種の人工語を作ったのが、ピリピノ語です。 しかし、人工語といっても、実体的には、タガログ語であり、しかし、フィリッピンの公用語としては、タガログ語と区別して、ピリピノ語と呼んでいたものを、あまりにタガログ語の要素が強すぎるという国内意見で、最近20年ほどで、もう少しフィリッピンの他の言語に配慮した公用語としてフィリピノ語を作った(というか、基準文法を定めた)のですが、これでもまだタガログ語のヴァリエーションで、実体はタガログ語だということで、反対意見などもあるのです。(フィリッピンには、タガログ語以外にも、多数のアウストロネシア語族の言語があります)。 また、台湾は、1000万人を越える使用人口の福建語方言(中国語の方言のなかの福建語のなかの更に方言。台湾では、これを「台湾語」とも呼びます)が使われていますが、これは明朝末期に、大陸中国の主に福建省から人々が移住して開拓したからですが、移住の前の先住民がおり、これらの人々は、セデック語、パイワン語などのアウストロネシア語を使っていました(台湾語の使用を義務教育などで定めていたので、現在、年長者しか使えなくなっているという話があります。年長者は、日本語を理解できる人が多いというのも特徴になります。単に、日本が領土に入れていて、日本語教育をしたと言うだけでなく、アウストロネシア語族ですから、元々発音し易く、通じ易いのでしょう)。 アウストロネシア語族の言語は、インド洋の反対側のアフリカ近くのマダガスカル島にも広がっています。マダガスカル島は、文化的に不思議な世界であると言われており、公用語は、使用人口1000万人を超えるマラガシ語で、この言語は、19世紀はじめに、全島を統一支配した、メリナ王国のメリナ族の使用語メリナ方言を基礎にしていますが、マダガスカルの20の民族は、言語的文化的に高度に一致していて、メリナ方言と他の民族の言語で、それほど極端には違いません。 マラガシ語は、語彙の点で、東アジア、インド、東南アジア、西アジア、アフリカの様々な言語からの語彙が入っています。マダガスカルは、民族的にかなり多様なのですが、言語的文化的に統一がある不思議な世界だとされます。 >No.247879 質問:マダガスカル >http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=247879 もっとも西に位置するこのマラガシ語から、東の彼方のハワイ語やサモア語まで、発音規則が単純で、基本的に少数の母音(4,5から7,8)があり、子音連続がほとんどかまったくないというのが、アウストロネシア語族の言語の特徴です(なお、「マレー・ポリネシア語族」という呼び方は、古い呼び方です)。 日本語は、発音の点からみると、アウストロネシア語族と同様であり、共通語彙も見出されていますが、文法構造からいうと、「孤立語」のアウストロネシア語族とは異なり、「膠着語」に分類されます。日本語と朝鮮語は、文法構造からするとよく似ており、日本語とモンゴル語も似ています。従って、日本語は文法構造からは、アルタイ語族に属するという見解があり、日本語の所属をアルタイ語族としている学者もいます。 しかし、朝鮮語と日本語では、共通語彙が見つからないという問題があります。古い時代に遡って比較すればあるかも知れないのですが、朝鮮語の古い形の資料は、十世紀よりも前のものはないというのが実情です。古朝鮮語とされるものは、せいぜい十二世紀頃のもので、日本語の上代語は、確実な資料として8世紀、分散的なものだと7世紀よりも古いものがあるのですが、日本語上代語と古朝鮮語を比較しても、共通語彙が見つかりません。(借用語とか、中国語からの派生語での共通語は、言語本来の共通語では、当然ないのです)。 (古代日本語も古代朝鮮語も、漢字で表記されています。日本語の場合、8世紀以前の日本語の音は漢字表記です。朝鮮語は、12世紀以前が漢字表記になります。日本語はしかし、万葉仮名の音の組織が明確に分かっており、「万葉集」「古事記」「日本書紀」での漢字の使用方法の分析で、8世紀あるいはそれ以前の日本語の音組織が、万葉仮名の形で明確に分かっています。古代朝鮮語は、音組織が明確に分からないため、上代日本語との比較ができないのです)。 日本語上代語と、語彙、文法において共通するものが南インドのドラヴィダ語族の、例えばタミル語との比較では多数存在するというのが、大野晋の主張で、これは非常に説得力があります。大野晋の考えでは、日本語は、アウストロネシア語族の言語に、ドラヴィダ語族の言語が乗り、その上に、アルタイ語族の言語が乗って、全体に中国語の語彙が多数入ってできたのではないかということになります(近世は西欧語、最近は英語の語彙が多数入っています)。 日本の縄文人は、アウストロネシア語族の言語を使っていたのではないかというのが大野の説だと思いますが、アウストロネシア語族の言語は、太平洋・インド洋の島嶼に広がったので、地理的分断性が大きく、語彙の形がかなり速い速度で変化し、そのため、現在のアウストロネシア語族の言語と比較しても、共通語彙が見つかりにくいと説明されます。 日本語の基本構成は、文法的には、アルタイ+ドラヴィダ、発音や語彙では、アウストロネシア+ドラヴィダというような構造が仮説で考えられています。 日本語と朝鮮語は、「系統不明の謎の言語」とされています。こういう「謎の言語」は、使用人口見積もりが最大で70万人ほどのバスク語を除くと、ほとんど現代では、1万人未満の使用人口で、そのなかで、日本語の1億2千万人、朝鮮語の6000万人乃至7000万人というのは、驚くべく数で、しかも、日本語と朝鮮語は、関係性があるように思えるのですが、実際には、「同系」だとの確認もありません。 >世界の言語 >http://www.sunflare.com/izumi/Promnade/ProWorldLanguage.htm
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以下の参考URLが参考になりますでしょうか? 「マライ・ポリネシア語族」 ◎http://www.fitweb.or.jp/~nkgw/uralalta.htm (マライ=ポリネシア語族) ●http://www4.justnet.ne.jp/~eden/Hst/dic/austronesia.html (アウストロネシア語族) 名称が変わったのでしょうか・・・? ●http://members.jcom.home.ne.jp/k.ohtake/japanese04.html (続くと継ぐの関係) この項の記載によると、日本語の起源をマライ・ポリネシア語族とする説もあるようです・・・?? さらに以下の成書が参考になるかもしれません(内容未確認!)? ========================================== マライ=ポリネシア諸語/泉井久之助/弘文堂/1975 世界言語概説/下巻/市河三喜,服部四郎∥…/研究社辞書部/1955 ポリネシア語派 : マライ・ポリネシア諸語研究 / 櫛原孝[著] ========================================= 「マライポリネシア語族」でネット検索するといくつかHitしますので参考にしてください。 ご参考まで。
お礼
回答ありがとうございました。
専門家ではありませんが世界の民族について興味を持っているので少し調べてみました。Maloyo-polinesian語族は想像以上に広範な地域(太平洋、インド洋)に居住し約1,000の言語に分かれているようです。タガログ、インドネシア語などがその中心的言語になると思われます。ポリネシア系の代表であるハワイ諸島語もこのマレー・ポリネシア語族の仲間ですね。 http://www.yashinomi.to/polynesia/bunka.html
お礼
回答ありがとうございました。 今度ゆっくり参考URL読んでみたいと思います。
お礼
回答ありがとうございました。 毎回知識量にはとても驚かされています。 ドラヴィダとつながりがありそうなんですね。 僕は先日中国の雲南省というところを訪れましたが、直感的に 日本にとてもよく似ている。と感じました。 その後人に聞くと、彼らは納豆も食べるし日本人と似ているところがある との事。 雲南省と日本のつながりなどありますかね? 回答ありがとうございます。 少しずつ世界の実情が見えてきて面白いです。
補足
御礼が遅れてすいません。 必ず書こうと思っています。 ちょっと待っててください。