前提として、両者の保護法益である「名誉」の意味について明らかにする必要があります。
ここでいう、名誉には大きく分けて2通りの意味があります。
第1は、外部的名誉といわれるもので、その人に対する社会の評価を意味します。
第2は、内部的名誉または主観的名誉、名誉感情と呼ばれるものでその人に対する、自分自身による評価を意味します。
ここで、#1の方が引用してくださった231条の条文をご覧ください。「事実を摘示しなくても」という文言の解釈によって以下の2説に分かれます。
第1節は、通説、判例の立場から主張されるもので、上記の文言を「事実を摘示しないで」の意味に解釈します。これによると、両罪とも、その保護法益は外部的名誉であるという点で共通しますが、事実の摘示の有無という点で差異が生じることになります。これに対して、反対説は、保護法益が共通なのに、事実の摘示の有無だけで量刑が異なるのは不合理であると批判しています。
他方、第2説は有力説の立場から主張されるもので、上記の文言を「事実を摘示してもしなくても」という意味に解釈します。これによると、名誉毀損罪は、外部的名誉の侵害に対する罪、侮辱罪は、名誉感情を侵害する罪という点に差違があることになります。これに対して、反対説は、この説によると感情のない法人や、名誉感情の認識が困難である精神病者、乳幼児等に対して、侮辱罪が成立する余地がなくなり不合理であると批判しています。
お礼
どうもありがとうゴザイマシタ。参考にさせていただきます。