一応補足しておきますと,
> 走れば,雨に当たる面積が増え,よりいっそう濡れます。
というのは「単位時間あたり」での話ですので,念のため。
さて,折角ですので No.4 を具体的に解きたいと思います。なお,まずは球の濡れ量について考えます。
雨が等速度 v1 で垂直落下,球が等速度 v2 で平行移動している場合,両方運動していると考えると問題を複雑にするだけですので,球の運動を止めて,雨が垂直方向に v1,平行方向に v2 に斜め落下していると考えなおします。このとき,雨の傾き(垂線とのなす角度)は θ = Arctan(v2 / v1) となります。
次に,雨の密度について,鉛直に降ってくる雨の密度を 1 とすると,斜めから受けたときは 1/cosθ 倍になります。この式は作図すると分かります。球は,雨を真上から受けても斜めから受けても,濡れる面積が変わらないため,この雨の密度の比がそのまま濡れ量の比になります。よって,球が受ける単位時間当たりの雨の量は,
1 / cos{Arctan(v2 / v1)}
となります。さらに,距離 x を移動する際の全濡れ量は
x / [v2 cos{Arctan(v2 / v1)}]
となります。ここに,
土砂降りの雨(雨の直径 5 mm)の速度 v1 = 9.0 m/s
普通の雨(雨の直径 0.8 mm)の速度 v1 = 3.3 m/s
小雨(雨の直径 0.4 mm)の速度 v1 = 1.6 m/s
「歩く」速さ v2 = 1.5 m/s
「走る」速さ v2 = 4 m/s
これらの数値を代入し計算を行うと,結論は,
土砂降りの雨では,歩いた方が 2.5 倍濡れ,
普通の雨では,歩いた方が 1.9 倍濡れ,
小雨では,歩いた方が 1.4 倍濡れる,
となります。ただしこれは球の話であり,人の体型は球形ではありません。実際には No.4 に書いた「雨を受ける面積の問題」があり,これによって θ が大きいとき,つまり小雨で走った際の濡れ量が飛躍的に大きくなります。この影響まで考慮すると,恐らく,No.2 の方が書かれたような計算結果になるのだと思います。