「国際連合」=「連合国」にしたい人達。
最近一般的には国際連合と訳されているのを何故かは知らねど、連合国と訳したがる人がネットでは散見されます。
そしてそういう人は、これまた何故かは知らねど、意地でも「現在も国際連合は連合国=戦勝国の組織」って事にしたい人とダブる事が多いようです。(例えば、日本が国連の常任理事国になれないのは“敗戦国”だからだ、みたいな“あなた国際外交に関するTVや新聞社が流すニュース、全然読んでないでしょ”と言わざるを得ない様なトンデモ説の主張者とか(笑))
そう言う人達は大抵
『そもそも国際連合は英語で記すと、The United Nationsだ。これは第二次世界大戦中の連合国という意味だ。戦後日本の外務官僚は、国際連合があたかも公平公正な機関であると見せかけようとして、連合国と異なる意訳をあえてしたのだ。』
と言った具合に主張します。
が(the) United Nationsを国際連合と訳し始めたのは、戦後の話ではありません。
国立公文書館アジア歴史資料センターのレファレンスコードB02033038700の『9 昭和20年2月19日から昭和20年2月28日』という標題の資料の全25画像中9画像目に「国際連合(ユナイテッド・ネーションズ)其の後の進展状況」と言うタイトルの資料が見られますが、これはポツダム宣言受諾の約半年前の1945年2月に(the) United Nationsの設立準備の状況を報告したものですから、日本ではまだ「鬼畜米英撃滅」とか言っていた頃のものです。
その頃の外務省が、敵国が作ろうとしているthe United Nationsを『あたかも公平公正な機関であると見せかけようとして』連合国ではなく国際連合と訳した、なんてどう考えてもても変ですよね?
戦争中の外務省が“League of Nations”(日本語訳では国際連盟)の後継組織として“The United Nations”という名称の国際組織を敵国(=連合国)が作ろうとしている時に、国際連盟に類似した国際連合という訳を考えるのは当然です。
いや戦争中の外務省が、連合国が新たに作ろうとしている、その国際組織の名称“The United Nations”をまた「連合国」と訳したら「連合国が作ろうとしている連合国」って事になってしまって、日本語としては寧ろそちらの方がどう考えてもおかしいです。
正しい訳が「連合国」と言うよりも、戦時中に「連合国が作った連合国」って訳にならない様に「国際連合」にするのは寧ろ自然な訳し方ではないでしょうか?