「試験」というのは、「試」も「験」も、「試みる・試す」という意味があります。「検査」は、他方、「取り調べる・取り締まる」という意味が「検」にあり、「査」も、「巡査・査察・査定」などに見られるように、「調べる」という意味があります。
試験というのはだから、「ためす・こころみる」ということで、それは人でも物でも、未完成段階でためすこともあれば、完成段階で完成をためすこともあるのです。
検査は、「しらべる」ということで、同じように、未完成、完成段階で、人でも物でも、しらべるのに使います。
英語だと、試験は、test または trial に当たりますが、これらは「こころみる・ためすこと」です。検査は、inspection ですが、この言葉は「内を見る」ということで、ためすのではなく、見て確認すること、つまり、調べることです。
学校だと、学業達成度を、試験するのですが、これは、達成度を、「試している」のです。学業については「検査」とは言いませんが、これは多分、学問が、果てしない発展を考えているからではないかと思います。
英語などの学業でも、或る実用目的で、その実力を調べる場合は、「検定」という言葉が出てきます。検査とは言いませんが、実質、検査に当たる言葉です。
また高校などでは、制服などが決まっているところでは、「服装検査」をします。これは「服装試験」ではないのです。どんな服装か試すのではなく、調べるからです。
化学の反応などだと、どんな結果がでるか、試してみる場合もあれば、結果を調べる場合もあるので、試験と検査が入り混じります。
工業分野では、製品状態でも、材料段階でも、半製品段階でも、ある目的や基準に適合しているかを確認するため調べる場合は、検査です。検査で、判定が出る訳で、検査の前に、試してみて、調べるのは試験ですが、試験して、それから更に進むと検査で、検査した後、試験とはなりません。
飛行機を製造すると、最終的な検査でOKだと、次に、試験飛行あるいは飛行試験をします。この場合、検査は、飛行機が設計通りにできているかを最終的に調べた訳で、次に実際にどう飛ぶか、「試す」必要があるので、試験します。飛行試験して、うまく行くようだと、実際に就航させるため、検査飛行をします。
試験飛行で、色々問題点が出てくると、それを改善したり訂正したりします。改善して大丈夫となった時、就航の前に、最後の試験飛行をするのですが、これは、検査飛行ということになります。改善がうまく行っているか、検査するからです。
試験は、調べるという要素もありますが、目的は「試す」ことです。検査は、ためすことも含みますが、調べるために試すので、目的は「調べる」ことなのです。
試験というのは、学校の試験が例のように、「試している」のですから、色々な結果が出ても良いのです。就職試験もそうです。
これらは、合格や採用があるので、色々な結果が出ては困るように見えるかも知れませんが、実は、「試している」ので、状況次第で、試験点数が同じなのに合格であったり不合格であったりし、また、採用者の意向次第で、就職試験は、どうとでもなるのです。
しかし、検査の場合は、明確な目的があって、調べているので、目的に合う結果か、そうでないか、という二つに大きく分かれるのが普通です。
具体的に、この言葉が使われる場合で確認すれば分かりますが、上で言った、「試す」ことに重点があるか、目的にあっているか「調べる」ことに重点があるか、試験と検査は、こういう区別で、使い分けされています。
お礼
どういう状況で使用するかの説明も無い質問に対して丁寧な回答ありがとうございます.医薬品で言えば化学なので入り混じるのでしょうね.試験検査なんていいますから.