海水の干満を引き起こす力を起潮力といい,これは確かに天体が南中したとき(地球の裏側も含めて)に最大になります。
新月・満月のときは,両者が一致するので,正午ごろと深夜ごろに最大となるのは,お考えのとおりです。
ところで,太陽の起潮力は月によるそれの半分程度ですので,単純化して言えば,潮の干満の時刻は月の日周運動で決まるといってよいでしょう。
太陽からの起潮力は,潮位に対してはかなり影響を与えますが,満潮・干潮の時刻に対しては,多少時刻のずれをもたらすだけで,月が引き起こす満潮なり干潮なりを打消して新たな満潮・干潮を作り出すほどのものではありません。
したがって,ご質問の時刻のずれは太陽の影響とはいえません。
ではなぜずれるかというと,月が南中したからといって,海水は瞬時に持ち上がるわけではありません。
海水自体の粘性もありますし,海水と海底との摩擦もあります。
さらには,海底の地形による影響もあります。
それらの影響が複雑に絡み合って,実際の満潮時刻は,月の南中時刻よりも数時間遅れることになります。
この遅れを「平均高潮間隔」といい,場所によって大体決まっています。
日本付近ですと,たとえば北海道沿岸は3時間程度。
太平洋沿岸は,関東沿岸で4~5時間程度,西に行くとやや大きくなり,紀伊半島~九州では6時間程度。
九州の西海岸は8から9時間程度。瀬戸内海には11時間程度のところもあります。
したがって,「月が正中する0時,12時頃に干潮になる」のは「平均高潮間隔が6時間程度だから」。
なぜ6時間かというと,それは地形その他の影響で,お住まいの近くの海水がたまたまそういう動きをしているからに過ぎません。
よその地域では違ったずれ方をしているわけです。
地球の自転周期が(恒星を基準にすると)24時間よりも約3分56秒短いのは確かですし,公転周期が365.242194日であるのも確かですが,それと平均高潮間隔とは全く関係ありません。
だいいち,自転・公転周期は地球のどこにいても同じなのに対し,平均高潮間隔が港ごとに少しずつ違った値を取るわけですから。
なお,前に同様の質問に回答したことがあります。よろしかったらそちらもご覧いただければ幸いです。
「満月の正午になぜ干潮?」(No.43380)
また,平均高潮間隔の値は(今のところ)理論的に求めることはできず(できたとしても,世界中の海底のデータを式で表すような,想像を絶する複雑な式になりそうです),検潮所がこれまで観測してきた実際の潮位の変化のデータから経験的に求めています。
くわしくは,「世界の潮汐データ」(No.93052)をご覧ください。
お礼
詳しいご説明を有難うございます。 たまたま6時間ずれているなんて、気がつきませんでした。以前の質問への回答も確認させていただきます。