「コスト」と「絶対的なエネルギー量の不足」は、バッテリー駆動が抱える根本的な問題点だと思います。
まずコストの問題。電動アシスト自転車の替えバッテリーは大体2万円程と高価で、このために走行距離あたりのコストは原付とさほど変わらなかったりします。もっとも、替えバッテリーに正規品ではなく内部の電池のみを交換すれば半額程度で済むのですが(その手の専門業者がいます)、これは文字通りの改造ですから、安全面や性能面でのリスクは残ります。
一方でバッテリー容量の問題。液体燃料のように「ほぼ無尽蔵に」エネルギーを供給できるシステムとは違い、バッテリー内部の電気化学的ポテンシャルのみに依存する電池システムでは容量は比べようもありません。
私はこれこそが電動アシスト自転車の最大の問題ではないかと思うのですが、この制約があるために、実用限界として平地巡航30~40km程度で完結するような企画でやらないといけないわけです。となると、ツーリングの距離を伸ばすのに使うとか、山を縦横無尽に走り回るのに使うにはあまりに力不足だから、いきおい街乗り用途に限定したものか、せいぜいケイリンPAS程度のものしか作れない(後者は公道は走れませんが)。
それどころか、実際に街乗り用の自転車ですらパワー不足の感が否めないほどで、この問題のためにヤマハがバッテリー補助用の原動機搭載を真剣に考えたくらいですから(これは警察に強硬に反対されて没になったが)。
電動アシスト車が電池(大きく重い)を使うシステムである以上、頑丈で重い車体を使わざるを得ませんから、それこそ燃料電池が実用化されない限りは「ママチャリに毛の生えた」自転車程度しか作りようがなく、自転車マニアの主要なニーズから外れてしまう点については甘受せざるを得ない面があります。