扶養については所得税と健康保険との二つの面があり、この二つがごっちゃになり誤解が多いようです。
所得税の面で言うとある年の1年、つまり1月から12月までの実際の収入が103万円以内なら扶養、超えれば扶養になれないということです。
しかし健康保険の面で言うと考え方が全く違います。
「今後向こう1年間の収入が130万円を超える見込み」という定義なのです。
これは非常にわかりにくい定義なのです。
まずこれは所得税のように1月から12月の1年間ということではありません、具体的に言うと月単位で考えてください、その月の給与に12(向こう1年ですから12ヶ月ということです)を掛けて130万円を超えるか否かということです。
例えば就職してもらった給料の月額が約108330円(12ヶ月を掛けると約130万円になる)以下ならば「今後向こう1年間の収入が130万円を超える見込み」ではないということで扶養になれるのです。
そしてその状態が続けばその間は扶養のままです。
しかしある月に例えば昇給等(バイトの場合では勤務時間の延長等も含む)でこの金額以上になれば「今後向こう1年間の収入が130万円を超える見込み」となってその月から扶養の資格を失うということです。
つまり過去についてはいくらもらっていたかは関係ありません、あくまでもその月にどれくらい収入があったかということであり、それが続く見込みであるということです。
別の例を挙げると例えば月20万円の給与で1月から6ヶ月だけ働くとします、7月から12月までは無職だとします。
すると20万円×6(6ヶ月)=120万円になります。
するとこの年の収入のトータルは130万円以下なので1月から12月まで扶養になれるという考え方は間違いです。
1月に20万の給与をもらえば20万円×12(今後向こう1年で12ヶ月)=240万円と計算して、1月については今後向こう1年間の見込みは240万円となり扶養になれません。
そして2月から6月までも同様の計算になり、扶養になれません。
そして7月になると無職で無収入ですから0円×12=0円ということで今後向こう1年間の見込みは0円となり扶養になれるのです、以下12月まで同様の計算で扶養になれます。
もう一つ極端な例を挙げれば、1月に就職して月給が140万円だったとします、そしてその月でやめたとします。
するとこのひと月で130万円を超えてしまいます、ですからこの年は2月から12月までも扶養になれないという考え方は間違いです。
1月は140万円×12=1680万円の見込みですから扶養になれませんが、2月は無職無収入ですから0円×12=0円ということで今後向こう1年間の見込みは0円となり扶養になれるのです、以下12月まで同様の計算で扶養になれます、過去についてはいくらもらっていたかは関係ありません。
健康保険の扶養は「今後向こう1年間の収入が130万円を超える見込み」という定義であり、この定義の具体的な内容についてお分かりいただけたでしょうか。
>そこで、私が4月からの職場が同じく社会保険・厚生年金と仮定して、
合わせて妻を扶養にしたいと考えているのですが、可能でしょうか。
年間の合計金額ではなく、月の金額が約108330円を超えるかどうかですから7月まで在職してそれを超えていれば扶養にはなれません、退職した8月からです。
>可能であれば、事前に用意しておくべき書類等がございましたら
お教えください。
一応8月ということで
1.国民健康保険の資格喪失手続きをする。
これをしないと口座引き落としなら、8月以降も引き落とされ続けます、また納付書による支払いだと納付書が来続けます。
2.会社に健康保険の健康保険被扶養者(異動)届を出して扶養者にします。
3.上と同時に会社には第3号被保険者の手続きもお願いしましょう。
4.退職した会社から離職票をもらったら、妊娠の場合はすぐに雇用保険の失業給付を受けることは出来ませんが、出産後あるいは育児に一区切り付いて再就職の意志があればその時点で受けることが出来ます。
しかし通常では退職後1年以内に給付を終了しなければ、無効になってしまいます。
そういう場合に備えて、安定所へ行って受給期間の延長の手続きをとってください、最大で3年(元々の1年と合せて4年)延長されます。
お礼
懇切丁寧なご回答ありがとうございました。 具体例もお示しいただきすっきりしました。