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スラックス・トラウザーズとチノパンの違いは?
今度オークションにズボンを出品しようと思うのですが、出品するときにカテゴリーを選ぶのですがスラックス・トラウザーズとチノパンというカテゴリーがあるのですが、スラックス・トラウザーズとチノパンはどのような点が違うのでしょうか?教えてください。
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ニューヨークから失礼します。 まず、”チノパン”の本質をきちんと理解をされていますか。日本でインターネットでオークションのビジネスをしている人たちの服飾に関する知識のレベルがどの程度のものなのか、詳しくは存知ませんが、 一般論としてtrousersトラウザーズは、イギリス英語、しかも中から上のクラスの人たちが使う言葉です。slackは、中から下の人たちと言ってよいでしょうか。 イギリスのブランドで、Daksという、本国では大衆向けだが、日本では高級ブランドの佇まいで売ろうとしているブランドがありますが、これはDaddy's slacks,つまり”おとうちゃんのズボン”を短くしたものと言われています。pantsは米語、つまりどちらかというとアメリカ英語ですが、もともと歴史的にアメリカのテーラーは イタリア系(ユダヤ系イタリア人も含む)とアラブ系(多くはフランスの影響下にあったレバノン人)が多く、イタリア語とフランス語で pantsのことをなんというか、いちいち書きませんが、これがアメリカでpantsがポピュラーになった大きな理由です。 ところが、なぜか日本ではtrousersとslacksが、ややdressサイド、 pantsがややカジュアルという言葉の棲み分けがされてきてしまったわけです。 従って、ウールのスラックスとか、コットンのパンツと言った方が、その逆の言い方をするよりもピンとくる方も多いのではないでしょうか。 以降、”チノパン”とのことですので、パンツという言葉を使いますが、パンツには、dress makeと、jean makeの大きく分けて二種類あります。dressの方が当然ながら、ネクタイをしたり、スーツだったりというドレスアップを目的としたものですから、中間プレスから、芯地使いなど、全ての面において多くの工程を踏んだ、コストのかかったものとなっていますが、jeanとはジーンズのジーンで、つまりジーパンの工場で縫えるレベルというか、dressに比べると格段に安価な作りであるのです。 どうも日本で”チノパン”というと、こちらのjean makeのものを指してることが圧倒的に多いように思います。 長くなりましたが、オークションで、スラックス、トラウザーズとチノパンと分かれている理由のひとつは、このmakeメイクの違いから着ているものと思われます。 さて、チノパンのチノとは、Chinoで、つまり中国のことを意味しています。 なんで中国なのか、ということですが、チノパンのチノクロスとは、一般的にはツイルtwillと呼ばれる織り方で、横糸が縦糸を二本ごとに飛び越して織られていきますが、そうするとちょうど斜め45度に折り目が出てくる、丈夫な織り方となるのです。(この織り方をヘビーウエイトにすると、ドリルクロスとも言います。)この綿のツイル地は、18世紀以降、インドの輸出用特産品として、東インド会社の権利を引き継いだイギリスによって、大量に超安価な綿織物がイギリス本国に流れ、そのため本来の綿織物の産地であったマンチェスターなどの綿織物の業界が大打撃をこうむることとなります。 実はこの安価なインド製綿ツイル地、つまりチノクロスが、イギリスにおける産業革命のきっかけとなったのです。 丈夫なこの生地は、庶民の日常着にも使われましたが、より有名となったのは、その丈夫さを生かして近代の軍服として使われるようになったことによってです。 19世紀末にインドに駐屯していたイギリス軍の指揮官にハリー ラムスデンという人がいましたが、当時のチノクロスは基本的には白または生成りであったために、インドのようなところでは、すぐに汚れてしまい、つねに身なりをきれいにして植民地に君臨する権威を保たなくてはいけないイギリス軍のおえらいさんたちの悩みの種でした。 そんなある日、ラスムデン卿は何を思ったか、白のチノクロスを桑の実を絞ったジュースにカレー粉とコーヒーをまぜ、ぐちゃぐちゃにして、その中にチノクロスをどぶんと漬け込んだのです。そうして白い生地は金茶色とでも言う色になりました。 実際、これで汚れも目立たなくなったし、それに軍隊として、はるかによいことは、迷彩効果というか、遠距離から兵隊が見えにくくなったことです。 実は日露戦争の頃までは、乃木大将のコスチュームを思い出してもらうとよいのですが、上が黒で、下が白のチノクロスに黒のミリタリーブーツといういでたちで、上下が黒白であることは、突撃する兵隊さんたちも基本的には一緒でした。ただし、これが旅順の乾いた大地とはっきりとしたコントラストをなし、ロシア軍の機関銃の格好の標的となってしまったのです。ラスムデンが染めた金茶色は、British Khakiブリティッシュカーキと呼ばれ、その後の世界の軍服の基本色のひとつとなりました。ちなみにカーキとは、 ヒンズー語で”土”という意味ですが、ご存知の通り、インドの国土は広大で、地方によって土の色が異なるため、これがカーキだという決まった色調はないのです。 茶系の強いものから、グリーン系の強いものまで実に様々です。 但し、金茶色については、あくまでもブリティッシュカーキと称するのです。 私の古い友人のロバート ライトン(今は時計のビジネスをしています。)というアメリカ人が その名もずばり、ブリティッシュカーキというブランドをかつて日本でも展開していました。 さて、このインド製の綿織物が、ついにチノと呼ばれる時がやってきます。19世紀にカリフォルニアなど、スペインやメキシコの植民地であった米国西海岸をうばっていった当時のアメリカ合衆国は、最終的に米西戦争にも勝利して、スペインのアジアにおける植民地であったフィリピンをも米国の植民地化してしまいました。 そうすると、当然本国から軍隊を送り込むことになるのですが、まぬけな米軍はほほ冬支度というか、冬季の装備の状態でフィリピンに乗り込み、熱くてどうしようもないので、イギリスに頼みインド製のツイル地を中国経由でフィリピンに送ってもらい、それから、いつともなく、現地のアメリカ兵からチャイナがなまって”チノ”と呼ばれるようになったのです。 つまり、”チノパンの本質は、ミリタリーにあり、軍服にこそある”のです。 第二次世界大戦時、米国は現在のイラク、アフガンへ派遣している約13万人の兵力の10倍以上の人数を欧州及び、アジアに送り込み、しかもその大半は、高卒の若者達でした。彼らは、文字通り世界を全体主義から解放した自由主義のヒーローとして帰国し、また当時の米国政府は、その功に報いるため、GIビルというファンドを立ち上げ、帰国した兵隊の多くを大学に進学させたのです。 その時代、アメリカのゴールデンエイジとも言える50年代から、60年代にかけての多くの帰還兵、にわか大学生の世代のリーダーとなったのが、JFケネディであり、ブッシュの親父であったのです。ご存知とは思いますが、二人とも太平洋で日本軍と戦い、死にかけているのです。 そうして、彼らが大学に入ったときに、キャンパスに持ち込んだのが、かつての日常着であった、軍服のチノパンツであったのです。(当時は、ブルージーンズは、野良着という社会的位置づけヶでしたので、キャンパスには不適と考えられていました。ならばチノパンならば文句はなかろう、という空気もあったようです。)そして、米軍は軍隊の下っ端は、クルーカットとか、GIカットの短髪でなければならなかったのですが、この短髪も帰還兵の若者がキャンパスに持ち込んだものなのです。 これらこそが”アイビー”の実態であり、本質でもあり、また男の服飾の本質そのものでもあります。 つまり男の服の本質は、ミリタリーとキャンパスにあるのです。 最後に、1945年の8月30日に、連合国総司令官のダグラス マッカーサーが、厚木基地に降り立ちました。 歴史的な写真ですから、ぜひ じっくり観ていただきたいのですが、彼が履いているのも”チノパン” です。但し、軍隊というヒエラルキーの中で、彼の着ていたものは全て カスタムメイド、つまり日本語のオーダーメイド(英語ではこれでは通じません。)です。つまり、同じ”チノパン”であっても、jean makeではなく、dress makeドレスメイク、それも相当手の込んだ仕立てです。 同じ”チノパン”でも2等兵レベルの履くjean makeものとは天と地ほどの違いがあるということです。 残念ながら、現代の日本では jean make のチノパンばかりで、こうした立派なdressものはほとんど見かけることがありません。 もし外国の高級メンズショップにて、バーゲン価格にて こうしたdress makeのチノパンが購入できたあかつきには、そのチノパンをスラックス、トラウザーズのカテゴリーで出品されて、オークションを煙にまいてあげるのも一興でしょう。もうひとつ、日本の服が海外で評価されないことの大きな理由のひとつに、 かなりの有名メーカーが百貨店に納品しているスーツの組下パンツにおいても、全ての部分がきちんとdress makeでなければならないものであるはずなのに、今だに私の言う通りにせず、jean makeとごちゃまぜになっているものがほとんどです。これは欧米では 非常にグロテスクなものとみなされます。 またまた長くなって どうも失礼をいたしました。
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- letterman
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主に使われている国などが違いますが、パンツ、スラックス、トラウザーズどれも同じものを表す語です。 チノパンは「チノクロス」という綿素材で作ったパンツの事です。 日本におけるイメージに限れば、スラックス、トラウザーズはきちっと(センタープレスありとか)してたり、スーツの下に履くものだったりという感じ。 パンツはカジュアルなものというかんじでしょうか。 売りたいものを買ってくれそうな年齢層も考えて、そのカテゴリーの商品を見て比べてカテゴリー決めしてはいかがでしょう。
お礼
助かりました。ありがとうございます。チノパンは綿素材でできているズボンのことただったのですね。
お礼
とてもご丁寧にありがとうございます。いろいろと勉強になり大変助かりました。本当にありがとうございます。