これは漢文ではなく、日本で造った言葉のはずです。
「無用」というのは、漢文で古くから出てくる言葉ですが、日本での用法では、特別な意味があり、「してはならない」という意味になります。
例えば、「返事無用」というのは、「返事はいらない」ということですが、強い意味だと「返事を書いてはならぬ」という意味でしょう。「御配慮無用」というのも、「配慮はいらない」という意味ですが、強い意志の表現で、「配慮するな」という意味にもなるでしょう。これは、日本語の熟語としての用法で、漢文には、こういう用法はありません。
この場合、「してはならない」という「してはならないこと」は何なのかが、文脈などで考えねばならない場合があります。「返事無用」などの場合、手紙などの場合に使えば、「この手紙への返事は、いらない・書かないでほしい・書くな」でしょう。
「天地無用」は、天地の「何をしてはいけない」のかということで、この言葉が使われるケース・場面が決まっているので、天地に関し、何をしてはならないのかが、決まっているということになります。省略語だとも云えます。
もっとも考えられるのは、「天地は動かしてはならない」でしょう。これは、荷物の輸送業務などで使われる言葉ですから、「してはならない」とは、荷物の取り扱いの時のことで、何をするかは、「動かす」ことでしょう。「天地を動かす」とは、「天」と「地」の位置を動かすということで、それをしてはならない、というのは、天と地の関係は変化させてはならない、上下逆にしてはならない、という意味になるのでしょう。
敢えて読むとすれば:
天地を動かしてはならない
天地は移動無用である
などとなるでしょうが、これは「天(上面)」と「地(底面)」を並べて「天地」と呼び、「してはならない」という禁止で「無用」を書いているので、「上下を逆にしてはならない」という注意の「省略表現」でしょう。
お礼
やはり漢文ではないのですね。勉強になりました。ありがとうございます。