逮捕時の実名報道
テレビニュースや新聞報道では毎日のように被疑者逮捕を伝える報道があります。
被疑者が未成年の場合や心神喪失の可能性がある場合を除いて、実名報道がなされています。
日本の刑事訴訟法では、有罪判決確定前は無罪の推定が働きますから、本来であれば有罪が確定した後に初めて実名報道がなされるべきだと思うのですが、実際にはそうはなっていません。
しかも、逮捕された被疑者であっても不起訴処分になる者も多く、社会的に注目されている事件や著名人でもない限り、後に不起訴処分になっても、不起訴の事実が報道されることはまずありません(平成23年版犯罪白書によれば、不起訴率は63.8%です。もちろん、このなかには逮捕されていない者、報道されていない者がいることは承知の上ですが、実名報道された後に不起訴処分になっている者が相当数いることは、間違いないはずです)。
そもそも、報道を受け取る側(国民)が、無罪の推定を正しく理解いているのならばまだいいのですが、現実の社会はそうはなっておらず、まだまだ「逮捕=犯人」との認識が根強くあります。
そのような社会で、後に不起訴になったとしても、逮捕時に実名報道がなされれば、その後社会生活を送る上でさまざまな場面において不利益を被ることは容易に予測できます(特に最近ではインターネットの発達により、過去の逮捕歴を知られる蓋然性が各段に高くなっています)。
よくよく考えてみると、実名報道は捜査機関が行う報道発表に基づいて行われています。
捜査機関は、無罪の推定が働くなかで、何を根拠に実名や職業といった被疑者の情報を報道発表しているのでしょうか。
実社会における逮捕のイメージ、その後の社会生活での不利益が上述のとおりである以上、被疑者段階での実名による報道発表は、捜査機関による社会的制裁以外の何物でもないと思うのですが、なぜそれがまかり通っているのでしょうか。
なお、あらかじめ申し上げておきたいのですが、ここでの話の本旨は、「報道の自由」にはおいておりません。
あくまで被疑者段階における捜査機関が行う実名による報道発表の是非を問いたいと考えています。
お礼
ありがとうございました これからはこのような質問をしなくてもいい生活をしようと思います