• ベストアンサー

姑穫鳥の夏の疑問点

京極夏彦氏の処女作品である「姑穫鳥の夏」を以前読んでいて、読み進めている間や読み終わった直後はその話が放つえもいわれぬ魅力と斬新さからかなんだかしっくり納得して読んだ感があったのですが、最近になってふと一つの疑問が沸いてきてしまいました。 拙い私の記憶によれば、久遠寺梗子に恋心を抱いていた藤牧氏が関口巽を介して梗子に恋文を送るところを、間違えて久遠寺涼子に恋文が渡ってしまったところからそもそもの事件の原因となる部分が始まると思うのですが、その後がどうにも納得がいかないんです。恋文を受け取ってもらえた藤牧氏はその後「京子」となった久遠寺涼子と何度も逢引をしていました。しかし、藤牧氏は涼子ではなく、梗子に対して激しい恋心を抱いていたはずです。いくら涼子と梗子が双子だとはいえ、自分の恋する相手をそうそう間違えるものなのでしょうか? なんだか聞けばきっとなんのことはない、至極簡単な答えが出てきそうではありますが、どうにも腑に落ちないので、どなたかご存知の方がいらっしゃいましたら教えていただけないでしょうか?

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
noname#126060
noname#126060
回答No.4

激しくネタバレです。 >面と向かったこともないような人に熱烈な恋愛感情を抱く  当時としてはごく標準です。声もかけられないまま恋慕を募らせたり、付き合っても結婚まで手も触れない事も普通。というより、触れられないからこそ欲しい知りたいと燃え上がるのが恋であったのです。  「梗子」については見かけて恋慕を募らせたまでで、実際つき合ったのは「恋文に応じて現れた京子」だけ。間違えるも何も、梗子の中身については藤牧は何も知らなかったわけです。 (ちなみに涼子は一つ違いの姉で、双子ではありません。) >何も事情を知らなかった梗子がどうして結婚を受け入れたか。久遠寺医院長が藤牧氏を認めたという理由からか。  もちろん最初の申し込みの際、梗子が戸惑い院長も不審だったため、藤牧は一度追い返されています。この時藤牧は子ができた云々は言っていません。  そして、娘が欲しければ医師免許を取ってこいという院長に応じてドイツ留学している間に、涼子は梗子の知らない場所で「療養」と称して出産、子は始末されている。  その後、ドイツから戻ってきた藤牧と梗子は、後継ぎと持参金の欲しかった院長によって早々に「沿わせられ」る。  当時の久遠寺家のような旧家では、親が決めたら承諾もくそもないですし、梗子も真面目できちんと医師免許を持った青年から「一目ぼれ」を理由に10年かかって二度も求婚されて悪い気はしなかった。ただ、結婚後になって、手も触れないのに自分に覚えのない言動を繰り返す夫に、姉との仲を疑ったとは書いてあります。 >夫婦となった後でそれまでの付き合いのことについて話し合ったりしなかったのか。  この事(恋文云々、抱きもしない癖にできた子供は堕したのかと聞く)で諍いがあったというくだりがちゃんとあります。  しかし、夫婦の双方が互いを記憶や精神の障害と思い込んだため、話合っても無駄で梗子が内藤に走る原因になった、とあります。  ただし、藤牧が愛していたのはあくまで梗子。  縁日で見かけ妻にした彼女は、彼にとって体を許し子をなした「京子」と同じ人物だったわけですから、例え覚えがないなどと言われても、ひたすら哀れみ愛するのみだった訳です。

amuy77
質問者

お礼

ご回答どうもありがとうございます。 初めに、云われてみれば確かにそもそも双子ではありませんでしたね。かなり拙い記憶を基に質問をしてしまった為、見事に間違えました。実は質問をした後にしばらく考えていて、夫婦となった後でそれまでの付き合いのことで話し合っていたのか否かというところで、朧げながらにも確かどこか作中にそれについて言及してあったところがあったようではあると思ってはいたのですが、手元に肝心の本が無く、確証が得られるまでには至っていなかった為、考えあぐねていました。しかし、それについてのくだりがちゃんとあったということでその点すっきりしました。 間違えて(もともと梗子を望んでいた藤牧氏にとって間違えという言い方は変なのかもしれませんが)夫婦となるのも、その間違い云々を疑う以前に特殊な状況によってお互い何も気付かぬまま結婚までに至ってしまったというご回答の説明通りなのだと思います。 ようやく納得出来ました。どうもありがとうございました。

その他の回答 (3)

  • debya1959
  • ベストアンサー率43% (41/95)
回答No.3

一筆献上 この頁を読んでいて「ふ」と感じたので参加しました。 それは2点あります。 1)昭和初期といえば私の母でもまだ子供の時代です。現代人には推し量れないほどの生活習慣や心理、風習があります。極端な例ですが、結婚するまで相手に会った事がない許婚とか、自分が知らない間に婚約しているなど驚異の世界だった事は周知の事実です。 さて、勿論この恋は藤牧氏の一方的な恋心から始まった物でしたが、実は藤牧氏に何らかの眼病があったとは考えられませんでしょうか?今ほど医学が発達していない当時にもしも目に病を抱えていたらどうでしょう?健常者には些細な違いが認識できる双子の姉妹だとしても潜在的に病を抱えている者の目には見分けはつかないものではないでしょうか?網膜の損傷や疾病は原因不明の物が多いですし、そういう病気が当時からあったとしても不思議はないですよね? 2)実は藤牧氏は最初から気付いていながら、取り返しのつかないところまで走ってしまった。 京極堂はそれを知りながらあの結末をつけるために「方便として」関口に語った可能性はないでしょうか? 何せ中尊寺秋彦という男は憑き物落しでありながらリアリスト。関口を納得させる為、憑き物を落とすためにはやりかねないと思うのです。 まあ、どちらも素人探偵にも劣る、趣味人に毛も生え揃わぬ私の戯言(たわごと)です。でもこの戯言を妄想する事も京極堂の楽しみ方だと私は確信しています。 乱筆乱舞

amuy77
質問者

お礼

ようやく納得出来ました。どうもありがとうございました。

amuy77
質問者

補足

ご回答どうもありがとうございます。 (1)の時代背景による状況については今一度よく考えてみれば確かにやはりそうなのかもしれませんね。ただ目の病については、もし仮にそうだとすると、かなりキーポイントになってくるであろうはずなのに作中で一切触れられていないとことを考えると、残念ながら少し懐疑的にならざるをえません。 (2)の藤牧氏が最初から気付いていたかどうかというのはやっぱり分かりませんが、京極堂が最初から気付いていたというのはおそらく合っていると思います。が、やはり京極堂が知っていたかではなく、藤牧氏がどうして間違えたのかということに関しては未だうーんといった感じです。

回答No.2

藤牧氏は、梗子さんと直接話したことはなかったのだと思います。 通学している所などを見初めたのでしょう。 藤牧氏は梗子さんの顔しか知らず、性格など関係なく一目ぼれだったのだと思います。 一方、涼子さんは体が弱く、確か学校にはほとんど(または全く)行ってなかったのではなかったかと。 なので、藤牧氏は久遠寺家によく似た姉妹がいるということは知らなかったのだと思います。 だから、待ち合わせ場所にやってきた「京子」を疑いなく梗子と思って初めて会話をし、そのまま付き合ったのでしょう。 そっくりな人がもう一人いるなんて、普通は思いませんから。 確か、梗子と結婚して久遠寺家に入って初めて「涼子」さんと対面したはずです。人違いをしたのではないかという可能性に気付いた、という記述がその頃の日記にあったような…。 結婚を申し込みに来た時も、確か涼子さんは妊娠していたので寝込んでいたかよそへやられていたかして顔を合わせていないはずです。

amuy77
質問者

お礼

ようやく納得出来ました。どうもありがとうございました。

amuy77
質問者

補足

ご回答ありがとうございます。 やはり一目惚れが原因なのでしょうか。しかしそれが原因で涼子である京子と付き合う運びとなったとしても、その後梗子に結婚を申し込んだところでまたしっくりこないんです。藤牧氏は京子との付き合いを経て、京子が妊娠したこともあり結婚を考えたわけですが、それまで何も事情を知らなかった梗子はどうして結婚を受け入れたのでしょうか。父親である久遠寺医院長が藤牧氏を認めたという理由からだけでしょうか。夫婦となった後でそれまでの付き合いのことについて話し合ったりしなかったのでしょうか。

  • hum-00
  • ベストアンサー率27% (22/80)
回答No.1

ネタバレです。 自分の恋する相手、といっても、藤牧氏の性格上、そうそう面と向かって話したことなどなかったのではないでしょうか。 (現に相手の名前を間違える程です) また、「京子」はもともとは、涼子の上位人格でした。 体の弱い涼子が憧れて、羨んでいた存在である梗子が、その人格のベースになったとしても、不思議ではありません。 色々と書きましたが、今手元に本が無いため、確証はありません。 失礼しました。

amuy77
質問者

お礼

ようやく納得出来ました。どうもありがとうございました。

amuy77
質問者

補足

ご回答ありがとうございます。 確かにそう言われてみればそうかもしれませんが、しかしそうそう面と向かったこともないような人に熱烈な恋愛感情を抱くのでしょうか。時代が時代なのでそのようなこともあるのかもしれませんが・・・なんだかどうもしっくりこないんです。

関連するQ&A