検察の起訴裁量について
よく、「検察官は起訴するかどうかを裁量で決められる」ということを聞きますが、その意味がよくわかりません。
刑事訴訟法248条は「公訴を提起『しない』ことができる」としています。これは、通常であれば起訴「される」件について起訴しないという決定を下す裁量があることを意味していると考えられます。通常であれば起訴される件に限っては、起訴するか起訴しないか検察官の裁量で決められると言えます。
しかしながら、通常であれば起訴「されない」件を起訴する裁量は検察官にあるのでしょうか? 私は、素直に248条を読めば、このような裁量権はないと結論付けるのが妥当だと考えています。
「通常」が何を意味するのかを考える必要があります。類似の件(例えば粉飾決算)が捜査、検挙、起訴されていないにもかかわらず特定の件のみを起訴するような場合、「通常であれば起訴されない件が起訴された」ということができると思います。
多くの人(検察官を含む)は、検察がこのような裁量権を有していると誤解しているように感じます。国策捜査は、検察が、通常であれば起訴されない件を起訴する裁量を有していると誤解しているから実施されているのでないのでしょうか。
以上、教えてください。参考文献も教えていただければ幸いです。