南米に生まれている政権はもう少し時間が経たなければ本当の姿は見えてこないと思います。現在はキューバ以外は明確に左派政権とはいえないでしょう。
日本ではアメリカ発の論評がすべてですから反米政権は即左派といわれます。実態は民族主義であり、民主国家連合である米州機構のメンバーに留まりつつも、モンロー主義以来の米国の対中南米政策(平等互恵主義ではない)に反発しているに過ぎません。中南米では反米的発言は庶民に受けるので、すべての新しい
政権は似たような発言をします。しかし、米国に頼らざるを得ない(輸出や金融支援、無償援助など)面もあり多くの新政権は国民は反米、政府は親米となっていきます。
最近、特にマスコミが取り上げるようになったのは昨年11月アルゼンチンで開催された第4回米州会議(カナダ、北米と中南米の首脳会談)でブラジル、ウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイ(4カ国は南米諸国共同体のメンバー)にベネズエラが同調して
米国主導の米州自由貿易地域構想の強引な推進に反対
して何ら合意に至らなかったためです。その後、ボリビアにも初の原住民出身大統領が誕生し、ペルーでも
同じような大統領が生まれそうになり、マスコミは
「米国は長年自由にしてきた裏庭を失った」とか「米国は中南米を失った」とはやし立てている面があります。
1959年、若い医学生だったカストロが米国の意のままになっていた政権を倒したとき、米国が冷静に対応していれば現在のようなキューバは生まれていなかったという歴史の「if」が語られますが、当時は米国
の資本家がキューバ経済を支配し、米国人は目の前に横たわるキューバを別荘地、観光地(ギャンブルを含め)視していたため、カストロを許すことは出来なく
ひたすら締め上げる政策を取りました。その結果が今日のキューバです。